エンタメ

孫正義 長者日本一への⑦決断「若くても、資本がなくてもNO1になるには…」(4)

「半端な売り方はしません!」

 一方で孫は、並行してソフト制作会社に狙いを定めていた。

 まず、全国に当時50社あったソフト制作会社の中でも、1位のハドソンに白羽の矢を立てた。

 ハドソンは、工藤裕司と浩の兄弟が経営していた。札幌に本社を置いているが、ソフトメーカーの先端を突っ走っていた。

 孫は、電子翻訳機のプロジェクトチームの時のように、業界のトップを狙った。

〈信長の桶狭間の奇襲戦法をとるしか、成功の道はない〉

 まずハドソン社長である兄の工藤裕司と、赤坂にある東京営業所で会った。

 親分肌の裕司は孫の話を聞くと、思ったよりもすんなり話が進んだ。

「お前と取り引きしてもいいよ」

 裕司は、エレクトロニクスショーでの孫の活躍ぶりを眼にしていた。こいつは口先だけでなく、なかなかやるわいと感心していた。

 裕司は、弟で副社長の工藤浩に会ってくれと孫に言った。ハドソンの実務的なことはすべて浩が担っていたのである。

 孫は、続いて副社長の工藤浩と会った。浩が上京し、ハドソンの赤坂事務所に来た時である。

 孫は、自信満々の口調で言った。

「おたくと独占契約を結びたい。つまり、うちを通じてでないと、ソフトの小売店にも置かないようにしたいわけです」

 ハドソンはその頃、ソフトは直接販売店に卸していた。電波新聞などと相手先ブランド契約であるOEM契約を結び、通信販売でもソフトを売っていた。孫はそれらの取引先をすべて切って、日本ソフトバンクだけに独占させてくれというのである。

 さすがの工藤浩も驚いた。

「おたくとだけという取引にすると、うちは売り上げが減ってしまう」

「確かに、売り上げは初めのうちは落ちます。おそらく半分くらいになるでしょう。さらに、うちを通すことによって中間マージンをうちが抜くわけですから、利益率だって落ちます。しかし、私は半端な売り方はしません。ソフトの卸に情熱を傾けています。死にもの狂いでやります。やがては今の何十倍もの儲けが出るはずです」

 この時、上新電機との話は進んでいたが、まだ正式な契約は済ませていなかった。実績は何もない。

 しかし、孫は上新電機の浄弘社長に話したように、自分の情熱と夢を語った。

「とにかく、ぼくに一回賭けてみてください。売り上げは必ずや伸ばしてみせます。メーカーとしていいソフトを作ることに全精力をあげて日本一になってください。ぼくは徹底的に売りまくりますから」

 工藤浩にとっては雲をつかむような話である。腕を組み唸った。が、しばらく考えて言った。

「なかなかおもしろいやつだ。お前に賭けてみるか」

「ありがとうございます。ぼくもとことんやってみせます」

 孫は深々と頭を下げた。孫は、“人たらし”ぶりを発揮して、ソフトメーカーのハドソンと、販売力を誇る上新電機をその気にさせたのである‥‥。

カテゴリー: エンタメ   タグ:   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の育毛ケアはカッコいい」は女性たちの新常識。モテ男を目指すなら今すぐGO!

    Sponsored
    89357

    小さい頃、家の洗面台には親父の育毛剤があって、なんだか悲しい気持ちになったことを覚えている。それを人知れず使っている(しかも家族にも!)親父の後姿は、やけに哀愁が漂っていた。記者が年齢を重ねることに不安を感じたのも、この頃だった。ところが、…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , , |

    「小じわ」の放置は「老け顔」に!?今すぐ始める30代からのスキンケア

    Sponsored
    86146

    30代から40代の女性は、結婚や出産・育児などの経験を経ることでママ友や主婦仲間といった新しいコミュニティでのお付き合いが始まったり、そして仕事の場では経験を重ねることで責任あるポジションに就いたりと、家庭や仕事でより充実した毎日を過ごして…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , , |

    ラッシュアワーが楽しくなる!?駅・電車内の正しい「苦痛軽減術」

    87987

    昨今、電車内での痴漢及び、痴漢冤罪が社会問題になっている由々しき事態だが、もとより、日々の通勤電車は我々サラリーマンの悩みのタネだった。バリバリ仕事をするためには、移動でくたびれている場合ではない。そこで、通勤時間を快適にするオヤジテクニッ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
清水良太郎、逮捕現場ホテルに垣間見えた「薄っぺらいプライド」!
2
戸田恵梨香の車で事故った成田凌にファンが「交際発覚」より失望した事実!
3
竹内涼真に「最速で人気急落」が囁かれる5つの“問題言動”!
4
カトパン初出演ドラマ、ラストシーンでよみがえるフジ史上最悪の放送事故!
5
「さんタク」正月放送決定でも2人を隔てる不穏な空気