スポーツ

長嶋と松井“4番の遺伝子”継承までの21年間「ニューヨークで師の病状を心配」

 長嶋が日の丸を胸につけて侍ジャパンの指揮を執ることになったのは、04年のアテネ五輪の予選からだった。“長嶋の復活”が野球人気の起爆剤になっていた。

 そして、平均年齢28.4歳のチームリーダーとして、真っ先に松井の存在に注目が集まった。しかし、その前年にヤンキース移籍をしたばかりの松井には、五輪予選への参加は不可能だった。

 松井の活躍は目覚ましいものがあった。移籍直後の4月8日のデビュー戦で、松井は満塁本塁打を放っている。これは長嶋が松井に言ったとおり、「大選手になるヤツは鮮烈なデビューをする」ことを証明したことに他ならない。直後に長嶋から贈られたバラの花束には、「一号おめでとう」とメジャー第一歩を祝福したメッセージが添えられていた。

 だが、アテネ五輪を前にして、長島は脳梗塞で倒れる。今でも1週間のうち、3日間を専門施設で器具を使っての、他の3日間は公園などで、歩行練習をするというハードなリハビリに励んでいる。

 その思いの先には、“どこかでもう一度、日本代表監督に”という思いがあった。それゆえに、北京五輪代表監督が星野仙一に決まった際には、長嶋が「なぜだ?」と周囲に当たり散らしたというエピソードもある。

 その時、遠く離れた米国でプレーをしていた松井の心中は察するに余りある。松井が日本から来る古参記者に、「長嶋監督はよくなりました?」と尋ねる光景を見かけたことがあったが、やはり気になる存在であったことは間違いない。

 松井が一度だけ、世間の冷たい風をもろに浴びたことがあった。それは第1回WBCに際して、出場を辞退した時だった。

「世界の王に恥をかかすわけにはいかない」とイチローは参加を表明し、松井は契約上の理由もあって、みずからが王監督(当時)に手紙を書き「参加できない理由」をキチンと説明し、了承を得ているのだが、長嶋の下で日本代表チームに参加しなかった松井が、リハビリに懸命に励んでいる長嶋を差し置いて、王監督の下にはせ参じるわけにはいかなかったことも、容易に想像ができるのであった。

 

スポーツライター 永谷脩

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「メジャーでは通用しない」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「獲得に虎視眈々」
2
2軍暮らしに急展開!楽天・田中将大⇔中日・ビシエド「電撃トレード再燃」の舞台裏
3
不調の阪神タイガースにのしかかる「4人のFA選手」移籍流出問題!大山悠輔が「関西の水が合わない」
4
新庄監督の「狙い」はココに!1軍昇格の日本ハム・清宮幸太郎は「巨人・オコエ瑠偉」になれるか
5
ボクシング・フェザー級「井上尚弥2世」体重超過の大失態に「ライセンスを停止せよ」