レーザー治療に特化した「伊東くりにっく」では、下は12歳から上は90歳まで、年間360名ほどの手術を行っている。これは「PLDD」と呼ばれる電磁波を使った手術のことだ。
「もともと外科志望でしたし、経験も積みました。椎間板ヘルニアのレーザー治療はまだ少なく、だから開業に踏み切りました」
PLDDの最大の特徴は、体への負担が軽減されるばかりか、術後のリハビリが必要ないことだろう。
「手術時間は15分で済みます。麻酔は局所麻酔で、術後の安静期間も1時間、入院期間もPLDDは即日帰宅が可能なのに対して、切開手術は1カ月もかかります。このようにPLDDと切開手術とでは、ずいぶんと差があるんです」
とはいえ、このPLDDには難点もある。手術は「保険適用外」のため、自費診療となることだ。費用は病によって30万~80万円と差はあるが、いずれにしても保険が適用される手術より明らかに負担が大きい。
「ただ、保険診療でできる手術だと、1カ月近く会社を休むことになります。給料的な問題だけでなく、家族にかける負担も大きくなる。その点、PLDDは最低で術後1日安静にしていればよく、長くても1週間程度の休みで仕事復帰できるんです」
PLDDは比較的新しい治療法のため、病院を選ぶ時は手術費用だけでなく、その医者の経歴、手術の経験数なども聞いたうえで決断することも大切だ。
「僕の患者さんのレーザー手術の成功率は82%。再手術が必要な方もいるんです。どんな治療法にも100%はない。でも、僕はそれを目指します。職業的に多いのは、カメラマンや溶接工、IT関係でパソコンを常に触っている人、これは最悪ですね。10代でゲームのしすぎから腰痛になる人もいます」
伊東院長の噂を聞きつけ、有名人も多く来院している。歌舞伎役者、オリンピック選手、プロレスラーの佐々木健介、俳優の竹内力、やしきたかじん‥‥。
「竹内力さんは他の病院で手術をしたけど治らなかったからと。たかじんさんは椎間板ヘルニアで、ブラッとお見えになった(笑)」
完治したかどうかは患者の言い値で、「半年か1年後に定期検診で来てください」と言っても、治った患者は絶対に来ないという。
「来る時は、新しい患者さんを連れて来てくれます。僕は、レーザー治療がいちばんベストだと思っているし、自信もある。まあ、治れば感謝されますが、治らなかったらボロカスです」
そう言って、なにわのブラックジャックは大声で笑った。
◆プロフィール 伊東 信久(いとう のぶひさ)1964年生まれ。整形外科医。神戸大学医学部、大阪市立大学大学院医学研究科卒業。伊東くりにっく院長。「Dr.イトー」の愛称を持つ。日本維新の会所属の衆議院議員でもある。