元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
コロナ患者の数が下げ止まる一方で、緊急事態解除です。世界のコロナ患者の数字を見ると、いまだ「どーなってるの?」という国はあります。特にブラジルなどから見ると、日本の感染者数の増減は羨ましいほどで、実質的には終息に近いのでは。とはいえ、日本には日本のやり方がありますので、依然として気を緩めてはいけませんね。
ここからは、コロナ一色の政治から、コロナ以外の問題を解決していく方向へと振っていかなければなりません。そこで皆さん、菅総理誕生時を思い出して下さい。あの頃の菅内閣の支持率は、歴代総理と比べても高く、期待値は大でした。でも、それってなぜでしたか。
携帯電話料金の値下げとデジタル庁創設、東京五輪・パラリンピックの開催。この3つの看板政策が国民に刺さりました。ここをもう一度立て直せば今後、菅総理の逆転劇が展開されるかもしれません。
デジタル庁に関しては、デジタル改革関連法案が審議入り。ようやくという感じですが、先週、知人から第2次緊急事態宣言における一時支援金の申請手続きのことで、大激怒の電話をもらいました。
その人は緊急事態の影響で50%売り上げが下がった個人事業主なのですが、システムが複雑で申請ができない、というのです。具体的には、商工会や農協、漁協、中小企業団体中央会の会員、登録税理士との取引、という決まった登録確認機関等を介さなければ申請に進めない、とのこと。
「困っている数万社、数万人が申請する施策に対して、対応できる機関が少なすぎる。しかも、登録機関の確認はフリーダイヤルにお問い合わせ下さい、と。時代遅れもはなはだしい!」
と憤慨。まさにコレです。やっぱりマイナンバーと個人データを早いうちに紐付けしないと、本当の意味でのデジタル化にはならないんですよ。
反面、国民側にも問題があります。個人情報が筒抜けになる、個人口座をチェックされるなど、些末な部分に意見を集中させないで、もっと政府を信用して情報を提供していくべきです。銀行にしても、それ専用の口座を開設すればいい。結局、前回の緊急事態宣言の際の給付金で、詐欺事例が多く発生し、政府だって慎重にならざるを得ないのですから。政府にしてみれば、
「一定数いる悪い奴らが、どうせ不正するんだろ」
という懸念もありますし、性善説をもとに支援金をバラ撒くわけにはいかないのです。現段階のガラパゴス政府では、どうやっても煩雑な申請方法になってしまうのでしょう。
僕はこう考えます。国民の皆さんは、メディアの情報に疑問を感じないのでしょうか。コロナ感染者数にしても、世界最大の感染国である米国が約3000万人。2位がブラジルで約1200万人、インドもブラジルと同程度。それに比べたら、30万人強の日本はだいぶ優秀ですよ。日本は優秀だ、という報道もたまにはあってもいいんじゃないでしょうか。
コロナの数は下げ止まり、菅内閣の支持率も下げ止まり。底打ちしたら上がるだけなので、コロナ以外の施策を急務で実現してほしいものです。あっ、コロナの数は上がっちゃダメです。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。