芸能

蘇る!山口百恵「赤いシリーズ」の“衝撃”(3)原知佐子が語る山口百恵の魅力

20140508_15g

 日本のテレビ史に大きな足跡を残した「赤いシリーズ」だが、すべてが順風満帆だったわけではない。その最たる例が「主要キャストの降板」であった。

 たとえば「赤い疑惑」(75年)では百恵の母親役である八千草薫が第6話で、「赤い運命」(76年)では名優の志村喬が途中で降板している。

 その理由は、あまりにも多忙だった百恵のスケジュールが原因とされている。今となっては信じられないが、たとえばカメラを背にしての対話のシーンでは、背中だけ見せている百恵はほとんど“影武者”であった。宇津井ら語りかける役者たちが影武者を相手に熱演し、後で百恵のアップを撮って帳尻を合わせる。

 10代の百恵自身に罪がないとはいえ、八千草も志村も、その手法に我慢がならなかった。

「私たちのスケジュールも百恵ちゃんに合わせて深夜とか早朝のスタートということは多かったわよ。分刻みで動く百恵ちゃんだから、私が話しかけていた場面でも振り返ったらいなくなってたりね」

 サバサバとした表情で振り返るのは、シリーズきっての「イビリ役」を演じた原知佐子である。第2作の「赤い疑惑」では友和を溺愛する母親役で百恵を寄せつけず、第4作の「赤い衝撃」(76年)では父親の寵愛を受ける百恵に嫉妬する義理の姉を演じた。

「アイドルをいじめるのは私の必殺技だったわよ。同じ大映ドラマでは堀ちえみの『花嫁衣裳は誰が着る』(86年、フジテレビ)でも、徹底的にイビる伯母を演じていたし」

「赤い疑惑」で共演した旧知の岸恵子には、こうした悪女の役をうらやましがられたという。

「あんたは言いたいことを言って、ストレスのたまらない役だからいいわね。私みたいに全部、いい人で通すのもつらいのよ」

 プロレスと同じ論理ではあるが、視聴者に激しく感情移入させるのは、実力のある悪役こそが必要となる。そのため原は、ボブスタイルの髪型で冷徹な印象を与え、赤の衣装を多用することで攻撃性を加味した。「長門裕之さんに『赤い衝撃』の時に語呂合わせでからかわれたの。これはお前の『赤・衣装・劇』だろうって」

 控え室で見かける百恵は、いつも多くのマネジャーやレコード会社のスタッフに囲まれていた。とても声などかけられそうもない雰囲気だが、原はシリーズごとに1度は「1人で出ておいで」と耳打ちする。「私たちレギュラーの役者陣が一緒にお昼を食べる小さなお店があって、そこにちゃんと1人で顔を出してくれたわよ」

 そんなあたたかさを持つ“悪女”から見て、女優・山口百恵の魅力とは何だったのか──。

「吉永小百合さんと同じで、下半身がしっかりしていたことじゃないかしら。日本人で長く人気を得るのは、ああいう体型の人だったと思う」

 神秘性の中に絶妙のバランスで大衆性が入り混じる。それは「赤いシリーズ」の高い視聴率にも表われていた。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
楽天・田中将大に「不可解な動き」次回登板のメドなしで「無期限2軍」の不穏
2
【ボクシング】井上尚弥「3階級4団体統一は可能なのか」に畑山隆則の見解は「ヤバイんじゃないか」【2024年3月BEST】
3
藤吉久美子が「バス旅に出たい」衝撃宣言!夫・太川陽介には秘密だった「蛭子能収との約束」
4
「100%幽霊が出るからやめておけ」現地民がおののく観光地「ベトナム大量拷問死」施設
5
巨人入り報道から一転…筒香嘉智「DeNA復帰」急加速で問題視される「守備位置」と「不良債権化」