スポーツ

北島康介「29歳の進化」 ライバル訃報で誓った“頂点”への決意(1)

「水泳を始めていちばん落ち込んだ」──。アテネ五輪で金メダルを獲得した北島康介に待ち受けていたのは、数々のアクシデントだった。虚脱感と体調不良に襲われた北島は、ライバル・ハンセンの存在を糧に闘志を燃やし、みごと復活を遂げる。そしてロンドン五輪を前に思わぬ悲劇が襲った。最大のライバルを突如、失ってしまったのだ。

ライバルの逆襲が始まった
 06年6月末、北島康介は都内にある病院のベッドの上にいた。扁桃腺が腫れて発熱したからだ。本来ならこの日は8月にカナダで開催されるパンパシフィック選手権(以下「パンパシ」)への高地合宿のため、アメリカのフラッグスタッフへ出発する予定だった。
 北島はひとり、茫然とする思いに包まれていた。
 五輪の中間年に開催されるパンパシだが、この年はいつもとは意味が違っていた。翌年の世界選手権は南半球のオーストラリア開催のため、3月に行われる。4月の日本選手権で、世界大会決勝進出を目安に決められた「派遣標準I」のタイムを突破した選手は代表に内定したが、それ以外の者はパンパシで再挑戦しなければいけなかった。
 04年のアテネ五輪後、たまっていたストレスが一気に吹き出して虚脱感に襲われた北島は、翌シーズンへ向けての始動を遅らせざるをえなかった。
 その準備不足の影響もあった05年は、世界選手権も50メートルと100メートルしか代表になれなかった。本番では意地を見せて2種目とも日本記録で泳いだが、順位は3位と2位にとどまっていた。
 そして06年は、冬期練習中の肘や膝の故障の影響に苦しむことになった。日本選手権の200メートルは4位に沈む屈辱の結果に。唯一勝った100メートルも、派遣標準Iに0秒01届かない1分00秒71。北島はパンパシで結果を出さなければ、翌年の世界選手権には出場できない状況に追い込まれていた。
 それなのに襲いかかってきたアクシデント。北島はパンパシ欠場も考えた。
「どう考えても間に合わないと思った。病院にいると『やるぞ!』という気持ちにもなれないし・・・。どんな試合で負けるよりもどかしさを感じ、水泳を始めてから、いちばん落ち込んだ時期です」
 と振り返る。
 何とか練習ができるようになったのは大会1カ月前。高地合宿に参加することを断念した北島は、国内でひとり調整し始めた。
 そんな状況の中、ライバルのブレンダン・ハンセン(アメリカ)が100メートル59秒13、200メートル2分08秒74という世界記録を出したニュースが飛び込んできた。05年世界選手権で、アテネの雪辱を果たす2冠を獲得した彼は、さらなる進化を遂げていたのだ。
 あまりにも自分の現状とは大きく異なるライバルの快挙。「今の自分は相手のタイムを意識するレベルではない」と自分に言い聞かせた北島は、泳ぎを取り戻すことだけに集中しようとした。
 こうして迎えたパンパシ当日。最初の100メートルで日本人トップの3位になって世界選手権代表を決めた北島だが、本調子には見えなかったハンセンとの差は1秒もあった。
 2日後の200メートルはさらに衝撃的な敗戦だった。予選のハンセンの動きを見て「もしかしたらいい勝負ができるかもしれない」と久しぶりに燃えて150メートルまでは食い下がったが、ラスト50メートルで一気に差を広げられる完敗。ハンセンは2週間前に出した世界記録を塗り替える2分08秒50だったのに対し、2位の北島は2分10秒87と、その差は歴然としていた。
 だが北島の表情は明るかった。
「隣のレーンで泳いで彼との力の差を肌で感じられたし、2分08秒台がどんなものかもわかった。あのレベルまでいかなければ五輪では勝てないという刺激をもらいました」
 と話した。
 アテネ五輪後、なかなか盛り上がらない自分の気持ちにモヤモヤしていた北島だったが、この完敗で一気に、彼の闘志に火がついた。

カテゴリー: スポーツ   タグ:   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    【緊急座談会】中年世代にど真ん中の夏カジュアルはあるのか!?

    Sponsored
    182685

    40代ともなると違和感を感じ始めるのが、休日のカジュアルファッションだ。体型が変わったり、若い頃に着ていた服が似合わなくなったり「何を着たらいいか分からなくなる」のがこの世代の特徴。昔ほどお金をかけるわけにもいかず、とりあえず安価なユニクロ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , , |

    クラファン発!最先端サプリ「スパルトT5」の実力と評判とは?

    Sponsored
    182842

    コロナ禍は、生活様式も働き方も大きく変えた。「仕事帰りにちょっと一杯」も難しくなった今、ビジネスの最前線で活躍する現役世代を蝕む過大なストレスが問題となっている。そんな精神的負担も原因なのか、これまで高齢男性に多かった“夜の悩み”を訴える3…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , , |

    出会いのカタチもニューノーマルに!「本気で結婚したい」男がやるべきこと

    Sponsored
    168750

    「結婚はしたいけど、もう少し先でいいかな……」「自然な出会いを待っている……」と思いながらも、「実は独りが寂しい……」と感じてはいないだろうか。当然だ。だって男は弱いし、寂しがりだから。先の“言い訳”じみた考えも、寂しさの裏返しのようなもの…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
石原さとみ、「前かがみバスト見せ動画」が“1日で100万再生”の大反響!
2
唐橋ユミ、「大きくない」発言を覆すクッキリ衣装で“Dバスト”の根拠映像
3
ついに薄幸が加入!テレ東温泉旅番組に期待高まる「G・G・Hバスト揃い踏み」
4
明石家さんまがグチりまくり!「五輪開会式」出演芸能人から遠ざけられる“ワケ”
5
胸の先がこぼれそう!マギー、「水着が下すぎバスト」に熱視線