政治

「消費増税には大反対だが小沢新党は支持しない」理由(5)

森永卓郎(経済評論家)

「メディアが作った小沢=悪のイメージが爆発した」

 今回は小沢さんの政局話にすり替えられていますが、もし小沢グループが反乱を起こさなければ、衆院議員の9割以上が、社会保障の改善を伴わない消費税の単純増税に賛成票を投じることになっていました。

 小沢さんは(民主党を)壊しにいっていると報じられていますけど、彼がいいか悪いかは別として、今回言っていることは、きわめて正しいと思います。

 政策的には、小沢さんの言っていることは、反増税、脱原発に加え、このあと、TPP反対も加わるでしょう。本来なら小沢新党は6割ぐらいの支持率を得られていいはずなのに、現実的には相当に低いのはなぜなのか。

 それは、今までずっと、大手メディアが積み重ねてきた「小沢一郎って悪いんだ」という報道のパンチが効いてきたんです。小沢さんに関する報道は驚くほど偏っていて、今回の4億円土地購入を巡る政治資金収支報告書の事件も、検察は起訴できなかった。裏金で世田谷の土地を買ったと見立てて、でも調べたら、まったくそんなことはなかった。検察審査会による強制起訴後も、一審で無罪判決が出たのに、控訴された。何の証拠もないのに。ほんとに、この裁判は不当なものです。証拠は全部、でっち上げだったわけですから。なのにメディアは、とんでもない犯罪をしたかのように襲いかかる。そういうことが、ずっと積み重なってきたんです。一審無罪だったとはいえ、(小沢氏に政治的ダメージを与えるという検察サイドの)初期の目的は達成したでしょう。(小沢裁判の発端となった)水谷建設の裏献金疑惑にしても、世間は小沢さんが水谷側から裏金をもらったと思っている。ところが裁判の結果、検察のでっち上げであることがわかり、訴因の変更をしたんです。実際は裏金をもらっていないのに、あたかも闇の力で受注を動かしたと思われています。

 ──というふうに、「小沢=悪」というイメージが出来上がった。支持率の低さは、その効果が一気に爆発したことが原因なのです。

 小沢さんの離党は選挙目的、という報道もありますが、ほんとに選挙のことしか考えていないのはむしろ、民主党に残った人たちでしょう。

 国民生活のためにいちばんいいのは、小沢さんが橋下さんと組み、小沢さんが主導権を握ること。大阪維新の会の支持率に乗っかるんです。このまま放っておけば、確実に自民党政権時代に逆戻りしますから。

 では、どうすればいいのか。小沢さんが地下深くに潜って、後ろからコントロールする形で政策を実行し、国民を引き付けないと、日本はひどいことになる。

 ただ、問題は現状の小沢新党ですが、300の選挙区に候補者を立てる力はないと思います。小沢さんは地中深く潜ってモグラ生活をし、国民が支持しやすい人を「顔」にして、そこに民主党からどんどん造反議員が加わる。さらに、他政党が合流して過半数を取らなければ、実はこれ、消費税は10%では済まないことになるんです。

 どんどん税金は上がる一方で、そうするとどんどん経済が落ち込んで財政状況は悪くなり、さらに増税となる。今のギリシャと同じことが起こります。ギリシャも消費税を上げて、経済がガタガタ。菅前総理は「消費税を上げないとギリシャになる」と言いましたが、むしろ反対。上げるとギリシャになるんです。

 国民が本気で怒って増税を止められるのは、次の選挙だけです。民主党が政権を取ったあと、郵政民営化を凍結する法案を出しました。それと同じように、次の選挙で戦えばいいんです。(小沢新党が)過半数さえ取れば、消費増税凍結法案を出せる。そうすれば、国民の支持を得られるはずです。

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