スポーツ

プロ野球「師弟の絆」裏物語 最終回 新垣渚と秋山幸二の「捲土重来」(3)

肘痛のリハビリからの試行錯誤

 新垣はここ数年、肘の故障に悩まされてきた。昨シーズン、ソフトバンクが中日を破って日本一になった瞬間、肘のリハビリ中だった新垣は、その場にはいなかった。二軍キャンプが行われた宮崎でテレビ観戦をしていたのだった。

 そんな新垣に思わぬチャンスが訪れた。ソフトバンクが日本一になったことで、昨年11月に台湾で行われたアジアシリーズで登板の機会が与えられたのだ。

 ソフトバンクは、アジアシリーズでは、来シーズンを見据えて、和田、杉内を除く若手メンバーを中心にチームを組んだ。そんな若手に交じって、新垣を呼んだのは他でもない秋山だった。

「リハビリからの姿勢をずっと見てきたからね。悔しい気持ちを来季にぶつけるためのいい機会だし、実戦で手応えをつかんでほしかったから‥‥」

 そして、初戦の台湾・統一戦では1点のリードを許した場面で3番手として登板。5回を無失点で抑え、930日ぶりのマウンドで“合格点”の結果を残した。

 3年ぶりの勝利に新垣は、

「使ってもらった監督に感謝したい」

 と素直に喜びを表現した。

 すでにこの時点で、今季に向けての「上司と部下」の信頼関係が醸成されていたと言っていい。

 甲子園に出場した時から、本格派投手としてのイメージが強かった。周りからは「松坂大輔(現レッドソックス)以上の逸材」と言われ、速球派として期待が高かった。

 本人も、それに応えるために無理をしていた部分があった、と言う。「自分は速球派であるというイメージが強かったし、それを貫こうとしていた。三振を取るということが快感だった」

 ところが肘を痛めてからは思うようなピッチングができなくなった。肘痛と戦いながら、新垣は投球スタイルを試行錯誤していった。そして、行き着いたのは、ツーシームを中心とした低めを丁寧につく技巧派の投球スタイルであった。

 そんな暗中模索の中で出会ったのが、監督就任1年目の秋山であった。

カテゴリー: スポーツ   タグ:   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「致死量」井上清華アナの猛烈労働を止めない「局次長」西山喜久恵に怒りの声
2
完熟フレッシュ・池田レイラが日大芸術学部を1年で退学したのは…
3
またまたファンが「引き渡し拒否」大谷翔平の日本人最多本塁打「記念球」の取り扱い方法
4
京都「会館」飲食店でついに値上げが始まったのは「他県から来る日本人のせい」
5
巨人の捕手「大城卓三と小林誠司」どっちが「偏ったリード」か…大久保博元が断言