スポーツ

野村克也×江本孟紀「2018プロ野球開幕“ど真ん中大放談”」(7)江本は私の恩師なんですよ

野村 しかし、政治家に立候補するなんて、こいつも金田さんと一緒で典型的なピッチャー気質ですよ。己を知れ、と。本当は政治のセの字も知らんだろう?

江本 いや、監督がご存じないだけで、僕は小学校5年生の頃から政治に目覚めてましたよ。

野村 何を言うてるんだ、ホンマかよ。

江本 そういうことをしゃべらないのもピッチャーのええところですから(笑)。だけど、関心はあったけど自分から議員になろうという気は全然なかったですよ。あれはアントニオ猪木さんに頼まれて、公示の前日まで悩んだあげく、最後の最後に決めたんですよ。「もういいか、野球なんか」と(笑)。

野村 よく言うよ(笑)。

──野村監督にも話が来たことはあるんじゃないですか?

野村 ああ、小沢一郎さんが家まで来た。

江本 サッチーが出たじゃないですか。

野村 「俺はとてもじゃないけど、そういうのはちょっとね」と言ったら、「じゃあ、私がやる」って。それはさておき、まあ、江本とのつきあいもだいぶ長くなったね。

江本 現役選手時代、20代の頃からですからね。もう50年近いです。

野村 東映フライヤーズで敗戦処理ばっかりやっとったな。

江本 まあ、1年目のドラフト外の投手でしたから。監督に南海に呼んでもらったから、10カ月しか東映にいなかったんですよ、僕。

野村 俺は「なんで、このピッチャー使わないんだろう?」って思ってたからね。それでたまたま東映の田宮監督からトレードの話が来たからどうしても欲しくてね。私もキャッチャーだったから、1年目だろうとなんだろうと、ある程度ストライクさえ投げられれば、なんとかする、というのがあったから。それが、まあ、大選手になっちゃって。

江本 また心にもないことを(笑)。

野村 私の恩師なんですよ。

江本 いやいやいや、何をおっしゃる。

野村 私の監督人生における「三悪人」。江本に、江夏豊、門田博光。南海ホークスで初めて監督をやった時にこの3人に鍛えられました。だからそのあと何球団か監督やったんだけれども、常にこの3人が頭にあるから屁でもない。

江本 ははははは。

野村 あいつらに比べたらなまやさしいもんだと。とにかく3人とも「右向け」っていうと左向くからね。やっぱり、苦しめられるっていうのも悪いことじゃない。私も35歳で若かったから経験もないしね。

江本 でも僕は、鶴岡監督時代の南海ホークスの初代三悪人は、野村、広瀬叔功、杉浦忠やと聞いてますよ。俺らは二代目ですから(笑)。

──それでは最後に、現在の球界にひと言物申していただけますか。

野村 とうとうキャッチャー受難の時代が来ましたよ。少年野球でもやりたがる子がいないし、キャッチャーに重点を置く監督もいない。

江本 それはそうですね。どの球団もキャッチャーを固定できていないですから。思うに、マスコミがキャッチャーに甘すぎるのもよくない。去年のWBC後の小林がそうだけど、持ち上げられた末にちょっと成績が悪いと、勝手に悩んでダメになったでしょ? 1、2試合リードがよかったからってホメてたらキリがないですよ。最近の捕手はバッティングもよくないしね。去年、規定打席に到達したのは、小林とヤクルトの中村だけ。「打つ捕手」の最後は古田くらいかな?

──近年では巨人の阿部でしょうか。

江本 ああ、おったか。でも、阿部は内野手みたいなもんだから(笑)。

野村 阿部は性格的にキャッチャー向きじゃないね。キャッチャーは守ってる時は監督以上の仕事をしなきゃいかん。結果的に0点に抑えれば「ナイスリード」と言われるけど、0点に抑えなくてもナイスリードはあるはずなの。それをみんなわかってないんですよ。捕手出身として、なんとかこの受難の時代を抜け出して優れたキャッチャーに出てきてほしいもんだね。

野村克也(のむら・かつや) プロ野球史上初の捕手三冠王にして、安打、打点、本塁打、出場試合数のいずれも歴代2位の記録を持つ。南海、ヤクルト、阪神、楽天の監督を歴任し、球界随一の知将として輝かしい成績を残した。

江本孟紀(えもと・たけのり) 70年に東映フライヤーズに入団。翌年、南海に移籍すると野村監督に才能を見いだされ活躍。プロ通算113勝で81年に引退する。92年から参議院議員を2期12年務め、現在は独立リーグ・高知ファイティングドッグス総監督。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の人からこの匂いがしたら、私、惚れちゃいます!」 弥生みづきが絶賛!ひと塗りで女性を翻弄させる魅惑の香水がヤバイ…!

    Sponsored

    4月からの新生活もスタートし、若い社員たちも入社する季節だが、「いい歳なのに長年彼女がいない」「人生で一回くらいはセカンドパートナーが欲しい」「妻に魅力を感じなくなり、娘からはそっぽを向かれている」といった事情から、キャバクラ通いやマッチン…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    今永昇太「メジャー30球団でトップ」快投続きで新人王どころか「歴史的快挙」の現実味

    カブス・今永昇太が今季、歴史的快挙を成し遂げるのかもしれないと、話題になり始めている。今永は現地5月1日のメッツ戦(シティ・フィールド)に先発登板し、7回3安打7奪三振の快投。開幕から無傷の5連勝を飾った。防御率は0.78となり、試合終了時…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「キスしてる?」質問にフジテレビ・井上清華が衝撃「赤面もじもじ返答」の「まさか!」
2
岡田監督と不協和音!阪神・佐藤輝明「怒りの2軍落ち」で問題視された「試合に向かう姿勢」
3
ロッテ・佐々木朗希「日本ハムに3対1の電撃トレード」謎の投稿が激論に!
4
「昔のヒット作」新シリーズが日本ではもうウケなくなったワケ/大高宏雄の「映画一直線」
5
DeNA大型新人・渡会隆輝「とうとう2軍落ち」に球団内で出ていた「別の意見」