3月28日、JRA報道室に「学歴詐称の事実を把握しているか、公正競馬をうたうJRAとしての見解はあるか」という内容の質問状を送ったところ、回答は「個人の学歴に関することであり、回答する立場にございません」のみ。
そこで、直接、中内田師に連絡を取り、学歴についての認識と事実関係を問う質問状をファックスしたところ、次のような珍回答があった。
〈ご指摘ありがとうございます。今後は混乱を招きますので、海外の学歴等に関しましては全カタカナ表記を使うようにします〉
意図的に答えないつもりなのか、まったく的外れで、この件に触れるのを避けているようにしか見えない。
ただ、その渦中の3月29日、ある異変が起きた。厩舎のHP内「HORSE TRAINER」の中で、それまでの「イギリスの大学では馬学・経済学を専攻」の記述が「イギリスのウエストオックスフォードシャーカレッジで馬学・経済学を専攻」と、書き換えられたのだ。牧場関係者が話す。
「まるでJRAから問い合わせがあって、慌てて対応したように映りますね。今回の問題は学校名ではなく、大学で学んだのかどうかですよ。英国の大学には『経済学部馬学科』があり、2つの卒業証書をもらえるなんてウソの情報を流しては困る。世界のホースマンを目指す若い世代やその両親が、真剣に進路先を考えるうえで実に迷惑な話です」
困惑するのは、JRA関係者も同じだ。
「調教師というのは学歴に左右されずに取得できる資格なのに、なぜ、高学歴を装う必要があったのか。こうした品格を問われる行為をGIトレーナーにされては、ファンからの信用も失いかねません」
その疑問について、馬主関係者はこう答える。
「海外のことであれば、バレないだろうという気持ちもあったのかもしれない。学校が統合されて名称が変更されていたのなら、なおのことだね。実家は老舗の育成牧場だし、義理の兄はイギリスのロジャー・ヴァリヤン調教師。あのポストポンドを管理した名トレーナーです。中学時代は本人が『不良になってたかも』と話すぐらい成績が悪かったから、見栄もあったのかな。高学歴を装えば、馬主の心象もいいだろうと考え、少しでもいい馬を預かりたいという一心からウソをついていた可能性もある」