歴史的勝利の裏で、W杯において初めて先発落ちしたのがMF本田圭佑(32)だ。
6月9日に行われたスイスとのテストマッチに先発出場して敗れたあとには、
「サブにはいちおう、僕のライバルでもある(香川)真司が控えていて、それは結果を出さないと真司にポジションを取られるということで、危機感を持たないと話にならない」
と、上から目線のレギュラー気取りだった。しかし、初戦の4日前の練習から主力組を外されると、ピリピリした不穏な空気を漂わせていたのだ。
「本田のスタメン落ちは選手もわかっていたので、いつも一緒にいるDF槙野智章(31)もほとんど声をかけなかったり、若手選手も近寄れない様子でした」(スポーツ紙記者)
ハレモノに触るような状況が続けば、孤立することでチームの和が不安視されたが、意外にも本田から歩み寄りを見せており、
「宿泊するホテル内のリラックスルームに頻繁に顔を出すようになり、ロシアのクラブに所属していた時の経験を伝えたり、他の選手たちと他国の試合を鑑賞していたそうです。8人参加の卓球大会も行われ、本田は決勝に進出。DF遠藤航(25)に負けましたが、大盛り上がりだったといいます」(スポーツ紙記者)
オレ様キャラから黒子役に変貌した本田は、いじられ役も引き受けていた。5月14日に放送された本田出演の「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)で、番組恒例の「あなたにとってプロフェッショナルとは?」という質問に対して本田は、
「プロフェッショナルとは、ケイスケ・ホンダ」
と本田語録の「迷言」で回答したのだ。
「ほどなくチーム内の流行語になりました。本田以外の選手やスタッフが何かあるたびに『ケイスケ・ホンダだな』と言うと、場が和むようです」(スポーツ紙記者)
そして、試合前日には、ライバルの香川に「全面降伏」していたという。
「2人組で行うウォーミングアップで、本田と香川が組んで練習を始めたんです。長らく代表取材をしていますが、初めてではないでしょうか。もともと仲が悪いわけではありませんが、同じポジションの2人はいつも意識し合う存在。見慣れない光景を前に、本田なりに香川を認めたうえでのエールだったのではないかと、取材陣がザワつきました」(サッカーライター)
6月12日のパラグアイとのテストマッチでは、味方選手が点を取ってもベンチメンバーだった本田は仏頂面だったが、コロンビア戦では「改心」していたようだ。スポーツライターの矢内由美子氏はこう語る。
「キャプテンのMF長谷部誠(34)が明かすには、本田はベンチで誰よりも大きな声を出していたそうです。今大会の本田は練習前にMF山口蛍(27)やDF酒井高徳(27)のパス回しに自分から参加したりして、中堅選手と積極的にコミュニケーションを取る場面が見られます」
ビックマウスを封印してからというもの、チームの雰囲気はますます上向いていたという。