売れない芸人が打開策として手を出すのが改名。古くは番組企画によって「海砂利水魚」が「くりぃむしちゅー」に、「バカルディ」が「さまぁ~ず」に改めてブレイクしたため、追随する芸人が相次いだ。ところが最近は、名を改めたはいいが、いまいちパッとせず、旧コンビ名に戻す例が増えている。この“元サヤ改名”後に大ブレイクに突き進んでいったのは、千鳥だ。
「ふつう改名といえば、コンビ名ですが、千鳥の場合はノブだけ。13年11月『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)の企画“意外と知られていない芸人の個人名”で、ビーチバレー選手の浅尾美和がノブの写真を見て『小池さん』と呼んだんです。これに、出演芸人が悪ノリ。“ノブ小池”に改名要求して、本人がのんだのです。実際にこの芸名で活動しましたが、翌14年の正月、Twitterで『ノブに戻ります!』と報告して、今に至ります」(テレビ誌ライター)
ノブの場合は、所属するよしもとクリエイティブ・エージェンシーの先輩であるロンドンブーツ1号・2号に気圧されて、渋々承諾した。
このような、事務所の先輩による“パワハラ改名”は、往々にして起こる。松竹芸能では、ますだおかだ・岡田圭右がやっている。親せきコンビのなすなかにしに、「いまぶーむ」と命名したのだ。なすなかといえば、漫才スキルは抜群ながらもチャンスを逃し続けていた。ゆえの改名だったが、1年ほどで旧コンビ名にリターン。あれから7年経った今年、遅咲きながらもテレビの仕事が増えている。
「かつてあった『よしもと男前ランキング』で殿堂入りを果たした藤原一裕と井本貴史によるライセンスも、かつては改名しています。07年、番組の罰ゲームで、“ザ・ちゃらんぽらん”となりました。事務所の大先輩にベテラン漫才師の“ちゃらんぽらん”さんがいたため、“ザ・”をつけたのですが、大不評。1年足らずで、戻しています。ちなみに、井本は“ダウンタウン浜田雅功の扶養家族”と呼ばれるほど、ベッタリの関係です」(お笑いに詳しい編集者)
芸人が避けては通れない改名問題。旧コンビ名に戻す元サヤで、運気上昇の例もあるようだ。
(北村ともこ)