ピエール瀧容疑者の薬物逮捕事件を巡って、お笑い芸人の世界では「芸人は薬物やらない説」が広まっている。というのも、去る3月17日には「Abema的ニュースショー」(AbemaTV)にて、ドランクドラゴンの鈴木拓が「お笑い芸人は一人もやっていない」と断言。千原ジュニアは吉本興業に入った元警察官が「これだけ人数がいて、これだけの団体で、これだけ薬物が入っていないのは不思議だ」と話していたエピソードを披露した。
その一方でウーマンラッシュアワーの村本大輔は19日、ウェブサービスのnoteにて、「人の理解を超える作品を作ってる人がいない」と芸人たちを批判。「要は覚醒してるような作品を作ってない、小器用なテレビ芸に薬物を使う必要ない」と現在のお笑い界に警鐘を鳴らしつつ、芸人が薬物を使っていないという見立てを追認していた。
そんなお笑い業界だが、過去の例をさかのぼると、薬物で逮捕されたうえに「実刑判決を喰らった」芸人もいたように思えるのだが…。週刊誌記者がささやく。
「昭和の時代は別として、21世紀になってから薬物絡みで逮捕された数少ない“芸人”はYOU THE ROCK★(ユーザロック)じゃないですか。彼は05年に薬物事件で逮捕され、懲役8カ月執行猶予3年の判決がくだりました。そして10年には二度目の逮捕となり、懲役8カ月の実刑判決を受けています。もっとも、YOU THE ROCK★は劇団ひとりとの共演で『ヤンチャ黙示録』(テレビ東京系)というお笑い番組も持っていたものの、本職は芸人ではなくヒップホップミュージシャンであり、DJ。それゆえ音楽関係者の薬物事件と見るべきでしょう」
そうなるとやはり、「純粋な芸人」は薬物に手を出していないようではある。では、なぜ他の芸能人とは違ってお笑い芸人だけが薬物に汚染されないのだろうか。ネタを創るという意味ではミュージシャンと同じクリエイターと言えるが、その違いについてお笑い系のライターが指摘する。
「まず芸人には内向的な人間が多く、人見知りも激しいので、薬物の取引現場になりやすいクラブのような場所が苦手。そしてほとんどの若手芸人は食うや食わずの生活なので、薬物に金を出す余裕などありません。これが売れっ子になってくると、今度はテレビ出演とライブの毎日が続くようになり、これまた薬物に接しているヒマがないのです。ミュージシャンなら作曲やレコーディングで閉じこもることも多く、アイデアが湧かない時に薬物に走るといわれるなど、そもそも時間の過ごし方が芸人とは大違い。芸人生活そのものが薬物とは無縁の環境を作るのかもしれません」
どうやら薬物を遠ざけるには、芸人で居続けることが方法の一つのようだ。
(金田麻有)