青春のきらめく季節だけ着ることを、そして歌うことを許されるのが「セーラー服ソング」だ。80年代以降、世の男子たちを胸キュンさせた名作の数々を一気にパワープレイ!
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チェキッ娘も推定少女も大きなムーブメントとはなりえなかったが、「会いに行けるアイドル」を打ち出し、歴史を揺り動かしたのがAKB48だ。秋葉原に専門の劇場を作り、いつでも会いに行けるというコンセプトだったが、05年のスタート当初は閑古鳥が鳴いていた。
CDもインディーズレーベルからのデビューだったが、ようやく4枚目のシングル「制服が邪魔をする」(07年)が初のベストテン入り。前田敦子がナレーションを担当したキャッチコピーは「お父さん、ごめんなさい…」と刺激的なものだった。
AKB48はデビュー以来、制服をアレンジした衣装を着続けた。元気ハツラツのアイコンと呼べる「会いたかった」(06年)は広く知られているが、インディーズ時代の最後のシングル「スカート、ひらり」(06年)の評価も高い。
「まだブレイク前ですが、昭和歌謡曲調のテイストが光る名曲。制服風の衣装を着たPVもいい出来です」(アイドル評論家・織田祐二氏)
余談だが00年代の最初の時期、ロシアから来日して旋風を巻き起こし、さらにはトラブル続きで消えたデュオがいる。それは「t.A.T.u.」であった。
日本の女子高生をイメージした衣装と、ほのかに同性好きカップルという設定だったが、人気は一瞬にして終わる。
ならば、ここは任せろと日本の80年代ヤンキー的なテイストを蘇らせたのは、ガールズバンドのSCANDALだ。全員が制服姿で演奏するというスタイルに、孤高の不良性を匂わせた。2ndシングルの「SAKURAグッバイ」(09年)は、卒業の季節に強い思いを込め、歌詞の「ミサンガ」が切なく響く。
最後に登場するのは、かの名曲を映像ごとリメイクした旬の2人である。
80年代の薬師丸ひろ子の傑作「セーラー服と機関銃」を長澤まさみが06年にドラマで、橋本環奈が16年に映画でリメイクし、ともに初主演の栄誉となる。
もちろん初代と同じく、有無を言わさずテーマ曲を歌わされる形になった。長澤は役名の「星泉」名義で、橋本は自分の名前でCDデビュー作として披露。
時代が大きく変わろうとも、青春期の揺らめく感情はタイムスリップを可能とする。