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名作ドラマ&漫画「最終回のヒミツ」(2)「もう一度見たいドラマ」 1000人アンケート

 「私の好きなドラマ最終回」1000人アンケートの結果を発表。評論家のコメントを織り交ぜながら意外な最終回のエピソードを明かそう。

 堂々の1位を獲ったのは「太陽にほえろ!(PART1)」(日本テレビ・72~86年)。ブルース(又野誠治)が犯人に拉致され、銃で撃たれて瀕死状態。そのタイミングでボス(石原裕次郎)が久しぶりに現場復帰。

 「被疑者の知人女性から居場所を聞き出すシーンが『裕次郎さん本人のアドリブだった』と新聞で見た。

 その後の放送で、病み上がりだった裕次郎さんの演技を見ていたら泣けてきました」(東京都・71歳)

 そして取り調べが功を奏して、署員たちはブルースを救出。定番の殉職を見ることはなかった──。

 ドラマ評論家の黒田昭彦氏の解説を聞こう。

 「最終回には3つのパターンがあります。1つは最終回と言いながら、あとに続いていく。2つ目はハッピーエンド。3つ目は人が死んで終わる。『太陽にほえろ!』の最後は、殉職もなく、ボスの語りで終わってハッピーエンド。だけど1年後に石原裕次郎が死んでいる。かつパート2や単発ドラマで、どんどん続いていく。3つの要素が全て含まれています」

 2位は「JIN―仁―(完結編)(TBS・11年)。現代に戻った仁先生(大沢たかお)は、江戸時代の咲(綾瀬はるか)が書いた手紙を受け取る。その最後に「○○先生をお慕い申し上げておりました」。仁先生が号泣した。先の3つの要素で見ると──。

 「仁先生が現代に戻ってハッピーエンドなんですが、でも坂本龍馬は死ぬ。終わり方も、秘密が解明されたわけではなくて、もっと続けられる話ではあります」(前出・黒田氏)

 ちなみに続編は、主演の綾瀬が大河ドラマに出演中のため、先送りになっているという話も‥‥。今後の展開に期待だ。

 3位には「家政婦のミタ」(日本テレビ・11年)が入った。阿須田家の父・恵一(長谷川博己)が三田さん(松嶋菜々子)に言う。「最後の業務命令です。笑ってください」。「承知しました」そう言って、ついに笑顔を見せる三田。みんなは涙が止まらない──。

 4位は「傷だらけの天使」(日本テレビ・74~75年)。亨(水谷豊)はカゼを悪化させ、たった1人で亡くなる。何も知らずに戻った修(萩原健一)。ドラム缶風呂に亨の亡骸を入れ、リヤカーに乗せて埋立地に向かう。

 アイドル評論家・小谷哲氏も絶賛を惜しまない。

 「夕日の中で、ドラム缶をゴロンと落とすんです。荒っぽいようで、悲しい。学生運動の名残がまだあった時代です。大きな力にはかなわないけれど、魂の部分では負けないぞという切ない終わり方でした」

 5位は「北の国から」(フジテレビ・81~02年)。純(吉岡秀隆)は人妻・結(内田有紀)と結ばれ、富良野へ戻る。蛍(中嶋朋子)は不倫相手の子供を産むが、それを承知で、幼なじみの正吉くん(中澤佳仁)と結婚する。

 6位にはホームドラマの嚆矢となった「時間ですよ(第1部)」(TBS・70年)。サラリーマンの1人息子・一郎(松山英太郎)は転勤で嫁・芙美(松原智恵子)とともに「松の湯」を去る。女将・まつ(森光子)と主人・祥造(船越英二)の2人がしみじみと語り合う。

 7位の「101回目のプロポーズ」(フジテレビ・91年)のラストは賛否両論。司法試験に落ちて結婚も諦めた達郎(武田鉄矢)の前に、薫(浅野温子)がウエディングドレス姿で現れる。工事現場に落ちていたナットを指輪代わりにして、ハッピーエンド。

 「同年に、同じ純愛ドラマの『東京ラブストーリー』がありました。どちらが名作か?と言われたら『東京──』のほうに分があると思うけど、最終回は『101回──』のハッピーエンドが好まれたんでしょうね」(前出・黒田氏)

 8位は「龍馬伝」(NHK・10年)。宿・近江屋で龍馬(福山雅治)と中岡(上川隆也)が急襲される。血にまみれた龍馬が言う。

 「中岡、わしはこの命、使いきれたのか‥‥」

 忘れられない名シーンである。

 9位には「おしん」(NHK・83~84年)が入った。おしん(音羽信子)と啓太(渡瀬恒彦)の2人は静かに海辺を散歩する。子犬を連れた女性(語り手の奈良岡朋子)が「どうぞいつまでもお元気で」と言って去っていく。

 そして10位は「ゲゲゲの女房」(NHK・10年)。布美枝(松下奈緒)としげる(向井理)が故郷の森の石段に座っている。しげる「まだまだ、これからだ」。布美枝「はい」。そして2人で歩いていく後ろ姿。

 やはり、誰もが好きなドラマの最終回は、後ろ髪を引かれる余韻が好まれるようである。

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