社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<せん妄>「認知症と間違える高齢者の病気とは」

 会社員のCさんは、80歳の父親が急に荒っぽくなり周囲にどなり散らしたり、夜中にブツブツつぶやくことに悩んでいた。「認知症じゃないか」と心配になったCさんは父親を連れて、近くのクリニックを受診することに。

医師「お父様が意味不明なことをつぶやいたり怒りっぽくなったのは、いつ頃からですか」

Cさん「1週間前からです」

医師「その症状は昼間にも多く見られますか」

Cさん「夜に多く見られます」

 医師の診断結果は「せん妄」だった。

「せん妄」とは、病気や薬の影響などによって、一時的に意識障害や認知機能の低下が起こる状態のこと。高齢者に多く、症状としては時間や場所がわからなくなる、注意力や思考力が低下する、独り言を言う、幻覚を見るなどが挙げられる。認知症やうつ病と症状が似ているので間違えやすい。

 その基準となるのが「発症時期」と「時間帯」だ。認知症は症状が徐々に進行するのに対し、「せん妄」は、突然発症して目まぐるしく症状が変動し、夜間に悪化する傾向がある。例えば、5分ごとにせん妄状態と正常な状態を繰り返す場合もある。

 これは複数の要因が絡み合って発症することが多い。環境の変化やストレス、脱水などがきっかけとなって発症することも。特に、ステロイドなど中枢神経に作用する薬剤の影響により発症した場合は、できるかぎり薬剤を減量、中止するのが鉄則だ。

「せん妄」は認知症とは異なり一時的な症状であるため、適切な治療を行えば改善する。ただし、気づかずに放置してしまうと、神経系の後遺症を併発する可能性もある。

 攻撃的になったり、意味不明なことをしゃべるなどの症状が突然、現れたら、まずはかかりつけの医師を早めに受診することが大切だ。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の人からこの匂いがしたら、私、惚れちゃいます!」 弥生みづきが絶賛!ひと塗りで女性を翻弄させる魅惑の香水がヤバイ…!

    Sponsored

    4月からの新生活もスタートし、若い社員たちも入社する季節だが、「いい歳なのに長年彼女がいない」「人生で一回くらいはセカンドパートナーが欲しい」「妻に魅力を感じなくなり、娘からはそっぽを向かれている」といった事情から、キャバクラ通いやマッチン…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    今永昇太「メジャー30球団でトップ」快投続きで新人王どころか「歴史的快挙」の現実味

    カブス・今永昇太が今季、歴史的快挙を成し遂げるのかもしれないと、話題になり始めている。今永は現地5月1日のメッツ戦(シティ・フィールド)に先発登板し、7回3安打7奪三振の快投。開幕から無傷の5連勝を飾った。防御率は0.78となり、試合終了時…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
豊臣秀吉の悪口に反論したら「耳と鼻をそがれて首を刎ねられた」悲劇の茶人
2
DeNA大型新人・度会隆輝「とうとう2軍落ち」に球団内で出ていた「別の意見」
3
中日OB名球会打者が「根尾昴は投手ムリ」バッサリ斬って立浪監督にも真っ向ダメ出し
4
年金未払いで参院選出馬の神取忍「細かいことはわからない」に騒然/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」
5
「趣味でUber Eats配達員をやってる」オードリー若林正恭に「必死の生活者」が感じること