社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<肺炎>「咳や高熱の症状が出ず高齢者の場合手遅れも」

 肺炎は、重症化するケースが多い病気。発熱、咳、痰などの初期症状が風邪と似ているため、気づかずに放置してしまうのが要因だ。

 風邪と肺炎の大きな違いは感染部位だ。風邪は、鼻や喉などの上気道に感染して炎症を起こすのに対し、肺炎の場合は、気管支の末端の小さな袋「肺胞」に、細菌やウイルスなどの病原体が感染して炎症を起こす。

「肺胞」は酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出す役割を担っているため、ここが炎症を起こすと、呼吸が困難になってしまうのだ。

 肺炎は3種類に分けられ、「細菌(細菌性肺炎)」は肺炎球菌、「ウイルス(ウイルス性肺炎)」はインフルエンザウイルス、「微生物(非定型肺炎)」はマイコプラズマなどが原因で発症する。

 感染経路は、咳やくしゃみなどによって飛び散る病原体が口や鼻から入り込んで感染する「飛沫感染」と、ドアノブなどに付着した病原微生物に接触して感染する「接触感染」がある。肺炎や風邪の感染は主に飛沫感染であることが多い。

 ここで特に気をつけてほしいのが、高齢者の肺炎。数日間に及ぶ38℃以上の高熱や、激しい咳や痰などを伴う場合が多いが、高齢者の場合は顕著な症状が現れないことも多い。そのため、気づかないままに進行してしまい、嚥下機能の低下から「誤嚥性肺炎」になりやすい。

 これは、細菌が唾液や食べ物などと一緒に誤嚥され、気管支や肺に入ることで発症する疾患。高齢者は風邪が少し続いていると思ったら、すぐ医療機関を受診することが必要だ。

 予防には手洗いやうがい、規則正しい生活、予防接種も重要だ。特に、肺内に入ると肺炎を起こす細菌「肺炎球菌」は重症化しやすいので、「肺炎球菌ワクチン接種」は必ず受けよう。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の人からこの匂いがしたら、私、惚れちゃいます!」 弥生みづきが絶賛!ひと塗りで女性を翻弄させる魅惑の香水がヤバイ…!

    Sponsored

    4月からの新生活もスタートし、若い社員たちも入社する季節だが、「いい歳なのに長年彼女がいない」「人生で一回くらいはセカンドパートナーが欲しい」「妻に魅力を感じなくなり、娘からはそっぽを向かれている」といった事情から、キャバクラ通いやマッチン…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    今永昇太「メジャー30球団でトップ」快投続きで新人王どころか「歴史的快挙」の現実味

    カブス・今永昇太が今季、歴史的快挙を成し遂げるのかもしれないと、話題になり始めている。今永は現地5月1日のメッツ戦(シティ・フィールド)に先発登板し、7回3安打7奪三振の快投。開幕から無傷の5連勝を飾った。防御率は0.78となり、試合終了時…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
中田翔と山川穂高「投手がビビるのはどっちのスラッガーか」山﨑武司がズバリ判定
2
息子の一生の汚点になる!〝悪事のデパート〟水原一平が砕いた少年の夢に母親が絶句
3
「巨人・大城卓三はFA宣言して巨人を出ていく」高木豊の見解を後押しする「阿部監督の起用法」と「契約」
4
前園真聖が恐れおののいた「元日本代表MF」との「すごい怖かった寿司屋会食」
5
メッツ「藤浪晋太郎はもう使えない」現地メディアが見放しても「引き取り先なし」の絶望的惨状