政治

歴代総理の胆力<最終回>(2)待望は「中曽根型」トップリーダー

 そうした中で、令和の時代を迎えることになった。

 しかし、この時代は“特別なすべり出し”となった。新型コロナウイルスの世界的感染拡大である。ために、特に経済が世界的な大ダメージを受けた。日本も例外ではなく、緊急事態宣言による休業事業者などへの補償問題などで、(補正予算など)なんと160兆円というべらぼうな財政支出を行わざるを得なくなった。

 また、外出への自粛などから消費が壊滅的となり、年間でGDP(国内総生産)のじつに4分の1が消えるといった状態だ。輸出で成り立つこの国も、世界経済の先行きがまったく見通せない中で、この期に要求される総理大臣の条件が問われている。

 一般論から言えば「構想力」「決断力」「実行力」などが問われるが、どうやらここに来て求められる総理像は、「君子豹変」を果たせるに巧みな人物になるのではないかとみている。

 これまでの歴史の教訓を踏まえての政策判断、舵取りも結構だが、もはやそれだけでは太刀打ちできない激変の世界情勢になっている。今後、予測できないことだらけのそれということである。当意即妙、何が起こっても間髪を入れず対応する能力が求められるということである。

 先般、安倍晋三総理が「体調不安」から、第1次政権同様の政権投げ出しをした。「ポスト安倍」は、石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長の有力候補を押しのけて、菅義偉官房長官が急浮上を果たしている。

 しかし、混迷期の総理として菅が適任かとなると、期待して見守るということしか術がない。

 となると、本来なら適役は、記憶に新しい“風をよむに敏”で知られ、「風見鶏」の異名のあった中曽根康弘元総理ということになる。しかしながら、中曽根並みの豹変に巧みな総理候補は、悲しいかな政治劣化著しい今の自民党には不在である。

 この国の政治の光明は、長いトンネルの先にまだ見えては来ないのである。

小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。

カテゴリー: 政治   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の人からこの匂いがしたら、私、惚れちゃいます!」 弥生みづきが絶賛!ひと塗りで女性を翻弄させる魅惑の香水がヤバイ…!

    Sponsored

    4月からの新生活もスタートし、若い社員たちも入社する季節だが、「いい歳なのに長年彼女がいない」「人生で一回くらいはセカンドパートナーが欲しい」「妻に魅力を感じなくなり、娘からはそっぽを向かれている」といった事情から、キャバクラ通いやマッチン…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    今永昇太「メジャー30球団でトップ」快投続きで新人王どころか「歴史的快挙」の現実味

    カブス・今永昇太が今季、歴史的快挙を成し遂げるのかもしれないと、話題になり始めている。今永は現地5月1日のメッツ戦(シティ・フィールド)に先発登板し、7回3安打7奪三振の快投。開幕から無傷の5連勝を飾った。防御率は0.78となり、試合終了時…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
発生切迫!東京と千葉東方沖で「想像を絶する規模」に/能登半島地震の次に必ず起きる「6つの大惨事」(4)
2
南海トラフの「前震」が目前の「中京圏・関西圏・四国南部」/能登半島地震の次に必ず起きる「6つの大惨事」(5)
3
「メジャーでは通用しない」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「獲得に虎視眈々」【2024年4月BEST】
4
超残虐!「牛裂きの刑」で少年をバラバラにした戦国大名の暴政三昧
5
地殻が水平移動!長野と岐阜の活断層で「内陸直下型」が多発する/能登半島地震の次に必ず起きる「6つの大惨事」(3)