隠れた出血を確認するためには、便潜血検査を受けなければわからない。いわゆる「検便」だが、「ガン」という大病を見つけるためには、この検査が一番だという。こうした大腸ガンの検査は各市町村では必ず実施されている。また、大腸ガンは50歳代から急速に罹患率が高まるので、40歳を過ぎたら受けることが重要だ。最低でもその他に3~5年に1回、内視鏡検査を受けるべきだという。
「健康だから検診を受けなくていいよ、というのは大きな間違いです。ところが受診率がすごく低く、東京都で言うと大腸ガン検診の受診率は25%前後しか受けていません。大腸ガンは予後がいいから、早く見つければ、他のガンに比べ、生命が助かる率がすごく高いのです」(久保田理事長)
万が一、ガンと診断されてもその病名におびえてはいけない。大腸ガンの治療方法は劇的に進化しているのだ。
「昔は、開腹しなければなりませんでしたが、今では症状によって内視鏡で手術ができます。大きなポリープでも内視鏡で手術できるようになり、治療範囲が拡大しているのです。また、大腸の部分切除も腹腔鏡で手術ができます。体に小さな穴を開けて行うので、社会復帰がとても早いのです」(前出・久保田理事長)
一方、大腸ガン検診の実施方法には、大きな問題があるという。
「検診の実施を市町村にまる投げしているので、自治体によって無料と有料の実施が行われています。本来、国は国民の健康を守る義務があり、こうした格差がついていることに強い疑問を覚えます」(前出・久保田理事長)
もう一つの問題は、大腸と肛門を診察する専門医が不足していることである。目視によって確実に症状を診断できるのは内視鏡なのだが、これを操作できる医師が確保されていないのだ。
「内視鏡による検査が現在、最もベストな方法ですが、一方で大腸・肛門科は少なく、患者さんも訪れる病院に専門の先生がいるかどうかは、わからないです。『肛門科』という看板の付いた病院の門をくぐることに抵抗感があることは理解できますが、大変なことになる前に肛門や便に異常が出たら、まず医師に相談することを習慣にしましょう」(前出・久保田理事長)
オヤジたちよ、50歳を過ぎたら「肛門」を信じるな!