中山、中京でGI戦の前哨戦が引きも切らず行われてきたと思ったら、早くも本番だ。
今週はその秋シーズンGI戦の第一弾、スプリンターズSである。
中山競馬の名物でもある電撃の芝6ハロン戦は、今年もフルゲート(16頭)必至。スピード自慢の熾烈な競馬が堪能できそうだ。
馬券的には、どんな傾向が見られるのか。90年にGIに昇格されて以降、馬単が導入される02年までの12年間、1、2番人気馬が連対を外したのは、わずか1回のみ。馬単が導入されて以降の過去19年間では、馬単での万馬券が4回(馬連では1回)出ている。
過去19年間で1番人気馬は8勝(2着3回)、2番人気馬はわずか2勝だが、2着は7回もある。そして1、2番人気馬によるワンツー決着は4回。力のある馬が人気どおり連対することが多く、言ってみれば、順当に収まりやすいGI戦である。
年齢的にはノビシロのある4歳、5歳馬が活躍しており、4歳馬は過去19年間で6勝(2着3回)、5歳馬は4勝(2着11回)と、他の世代を圧倒している。
当然、この世代は出走頭数が多いからとも言えるが、他のGI戦に比べて、牝馬の頑張りが目立つのも特徴である。過去19年間で5勝(2着8回)は特筆していいだろう。今回もモズスーパーフレアやレシステンシアなど5頭が出走してくるが、最終追い切りを含め、状態をしっかりと見極めたいところである。
あとは3歳馬だ。そもそもスプリンターズSに挑戦してくる馬は少ないものの、今年はピクシーナイトとメイケイエールの2頭が参戦。特に後者は牝馬でもあり、背負う斤量(53キロ)からも要注意だ。
ただ今年は、GI馬が計3頭と例年より少なく、絶対視できるほど安定味を加味している馬はいない。そもそもこの舞台は、次代を担うスターが生まれることが多く、人気、評価がどうあれ、混戦模様のGI戦と言っていいだろう。
昨年は1、3番人気、一昨年は2、3番人気と、2年続けて上位人気馬同士の決着だったが、今年は穴党の出番が大いにあるとみて、ミッキーブリランテを狙ってみたい。
前走のキーンランドCは、人気を裏切る格好で10着に敗れた。好位でレースを進めたが、いざ追いだすと反応が鈍く、本来の切れ味は見られずじまい。これで評価が下がったが、軽く見るのは断じて禁物だ。
その前走は2カ月半ぶりの競馬だっただけに状態はイマイチ。パドックでは歩様にも硬さが見られた。だが、一度使われた今回は動き、気配ともよくなっていて、中間の稽古量も豊富で実に雰囲気がいい。
1週前の追い切りも軽快かつリズミカル。走れる状態にあり、本来の姿に戻っているのであればGI戦でもやれていい。
初めての6ハロン戦となった今春の高松宮記念は10着に敗れたが、勝ったダノンスマッシュとコンマ6秒差は評価していいはず。前々走の函館スプリントSでは、1着馬ビアンフェと同タイムの僅差3着と頑張っているように、この距離の適性は十分ある。
陣営も「体調は戻っており、力にそう開きはない。楽しみ」と期待を込める。
祖母アルカンドは米GIビヴァリーヒルズハンデキャップを勝っており、母系は欧州の一流血脈。血統的背景もよく、頂点に立っていい馬。良馬場条件に大きく狙ってみたい。