振り返れば巨人の強さだけが際立った2013年のセ・リーグ。ライバルのはずの阪神は2位とはいえ、その差は歴然。阪神の浮上に向けてすべきことは何なのか。掛布DCとOB会長の川藤幸三氏が猛虎愛で語り倒した! 2014年こそは勝利の咆哮を聞かせてくれッ!!
川藤氏の到着を待つ間、掛布氏としばし雑談を交わすと、秋季キャンプから本格始動した育成&打撃コーディネーター就任の裏話になって‥‥。
掛布 1年ほど前から「伊藤隼太を指導してやってほしい」と中村GMから言われていたんだよ。球団も阪神のチーム作りを考えるうえで“生え抜き”を中心とした戦力が必要とかなり強い意思を持っていたみたいでね。その考えの中で僕の名前が出てきたみたいで。
──今は、生え抜きといえば、巨人のイメージのほうが強いですよね。
掛布 優勝に向かって戦う形を考えれば、生え抜きを中心にしたチームというのが一番の理想。もちろんチームのバランスが崩れた時には、やはり外の力を借りなければいけない時もある。でも、ここ数年、阪神はそういう形でも勝てていない。常勝を求められるチームなのでしかたがないけれど、そういう形で勝つチームには当然、お金がかかってしまう。であれば、ある程度スカウトを含めて自軍で選手を作る必要があると感じていたんだと思う。
──自身ではどのようなところで球団側に期待されていると思いますか。
掛布 それはまだ自分でも見つけてる最中。秋季キャンプを終えただけで、自分の指導が正しかったのか結果が出てないからね。ただ、僕は打撃を教える立場だし、生え抜きの選手を育てるという部分だけは、はっきりとわかっています。
──現場で選手を見られて率直にどう感じましたか。
掛布 選手個々の可能性の高さに驚いたよね。こんなにも有能な選手が二軍にいるのか、と。
──最初にキャンプで目をつけたのは?
掛布 とにかく打ち損じをなくそうと思った。相手がカウントを取りにくるようなストレートをしっかりと打てるか。そのためには、一にも二にもレベルで体を使わなければいけない。バットもそうだし、肘や肩や腰といった体全体をレベルにしていく。そうなれば、当然打ち損じもなくなっていくわけだから。
──寮には掛布部屋なるものがあるようですが。
掛布 寮の中の1部屋は空けてもらったけど、寝泊まりしたことはないね。あくまでも荷物を置いたり、着替えたりするスペース。ロッカールームの代わりとして使っている感じかな。あ、川藤さんがいらしたよ。
(ここで川藤氏が登場)
掛布 川さんから見て今シーズンの阪神はどうでしたか。
川藤 13年のペナントレースほどおもしろくないものはなかったな。
掛布 前半戦でちょっと期待してしまっただけにね。
川藤 2年前は現戦力で戦おうとして失敗しとる。その翌年の和田阪神は5位。そこでいろんな課題が見つかって、メジャー帰りの福留、西岡を呼んで、ルーキーの藤浪も入れたわけやろ。話題はできたわな。だから、初めのうちはよかった。ただ、はっきり言って、(巨人以外の)他の4球団もなってない。
掛布 強い阪神が巨人を追いかけてたわけじゃなく、他のチームがバランスを崩しただけですもんね。
川藤 唯一食らいついていったのが阪神なだけ。開幕以来の巨人の8連勝(引き分け1試合を挟む)をストップさせたのも阪神やろ。甲子園での最初の対巨人3連戦は2勝1分けだったわけやし。あそこから巨人と五分の戦いをしていったが、それも夏場までやないか。
掛布 巨人も最初はまったく阪神を意識していませんでしたしね。ペナントレースの流れの中で普通に阪神と戦っているという感じ。3連戦の頭には宮國を投げさせるぐらいですからね。阪神は能見をぶつけていったのに。だからといって能見が勝てたかと言われれば、勝ててない。
川藤 最終的にはね。夏場以降の3連戦はほとんど巨人に勝ち越していない。
◆アサヒ芸能12/24発売(1/2・9合併号)より