今年の東京開催の最終週を飾るジャパンカップ。第41回目を迎えるが、ひと昔前のジャパンCとは隔世の感がある。第1回から第3回まで招待(外国)馬が制し、その3回目に日本馬が初めて2着に入り、健闘ぶりが称えられた。
勝ったスタネーラ(愛国)にアタマ差まで迫ったのはキョウエイプロミスで、限界を超える激走がたたり、これで競走生命を絶たれることになった。
この際、騎手時代に長期のフランス滞在経験もある“ミスター競馬”こと、故・野平祐二調教師は「これが(外国馬との)彼我の差だ」と、目に見えない欧米馬の地力に触れ、まだ壁が高いことを言い表した。
しかし翌年(84年)、カツラギエースがまんまと逃げ切り勝ちを演じ、これにシンボリルドルフ(85年)が続いて、外国馬神話は崩れかかる。が、第6回から再び招待馬が6年連続で優勝をさらい、その牙城に迫るのは容易ではないと思わせた。
それがどうだ。今、外国勢は見る影もない。05年のアルカセットを最後に優勝はなく、しかも連対馬さえ出ないありさまだ。3週前に行われたブリーダーズカップでのラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌの快挙を見るまでもなく、それだけ日本馬の質が向上したからにほかならないが、それだけではない。
凱旋門賞のあと、欧州の一線級はひと息入るのが常で、ジャパンCの前後には前述したブリーダーズカップと香港国際競走がある。極東の日本への遠征は、外国勢は二の足を踏まざるをえず、賞金、レースの期日を含め、ジャパンCを見直す時期にきているようだ。
前置きが長くなったが、今年の顔ぶれを見てみよう。なんといっても、三冠馬のコントレイルが主役だろう。春の大阪杯は道悪に泣いたが、それ以来7カ月ぶりの実戦となった前走の天皇賞・秋で2着。ここに照準を合わせ、まずは万全の出走態勢を敷いている。
他にも、今年のダービー馬シャフリヤール、オークス馬ユーバーレーベン、京都大賞典を勝ち、復活なったマカヒキなど、国内GI勝ち馬が5頭出走してくる、まさに国際レースにふさわしい豪華版だ。
外国招待馬は3頭出走予定で、いずれもGI勝ちの勲章を持っているが、昨今の日本馬の力量を思うと、厳しいローテーションで戦ってきたこともあり、見劣りするのは否めない。
データ的には比較的順当に収まる傾向にある。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの19年間、その馬単での万馬券は4回(馬連では2回)。この間、1番人気馬は7勝(2着3回)、2番人気馬は1勝(2着5回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回あり、波乱に終わることもあるが、比較的穏やかな配当が多い。
ということで、穴党ではあるが、人気、有力どころから入りたい。最も期待を寄せたいのは、シャフリヤールだ。
ダービー勝ち以来となった前走の神戸新聞杯(4着)は、この馬にとって馬場が悪すぎた。不良馬場に脚を取られ、身上の切れ味が不発に終わったのだが、4カ月ぶりの実戦で体に余裕もあり、やむをえない結果と言えよう。
しかし、ハナからジャパンCが狙い。この中間、陣営の思惑どおり、大幅な良化ぶりを見せている。とにかく稽古の動きが素軽く、気配は抜群だ。ダービーと同じ舞台を55キロで戦える有利さもあり、良馬場ならコントレイルを上回る瞬発力がモノを言うはずだ。
招待馬では牝馬のグランドグローリーに注意を払いたいが、重い印はつけられない。
穴は、サンレイポケットだ。6歳馬だが、オクテのようで、ここにきて地力強化されてきた。前走の天皇賞・秋(4着)は、強敵ぞろいだったことを思うと評価されていい。この秋3戦目というローテーションもよく、道悪もうまい。晴雨にかかわらず一票投じたい。