川崎フロンターレが2年連続の優勝で幕を閉じたJ1リーグ。リーグ戦が終了し、すでに来季の戦力構想が進む各チーム。この時期話題になってくるのが監督の進退、選手の移籍、そして現役引退に関するニュースだ。今年は玉田圭司、阿部勇樹、J1リーグ最多191ゴール記録を持つ大久保嘉人ら日本代表として活躍した選手たちが引退した。
一方で、毎年この時期になると話題になるのが、現在54歳でJリーグ史上最高齢、世界最高齢の得点記録を持つ“キングカズ”こと三浦知良の進退についてだ。
21年のシーズンに所属している横浜FC(来季はJ2降格)でリーグ戦に出場したのは1試合のみ。しかも出場したのは対浦和戦の2点を追う展開の中、後半アディッショナルタイムにピッチに入りわずか1分20秒でボールタッチなしで終了。出場すれば自動的に更新される最年長記録を伸ばすだけの結果となった。
来季も現役続行することを決めているカズ。サッカーを愛する情熱は年を重ねるごとに増しているそうだ。出場機会に飢えており、来季は移籍の可能性も視野に入れているとJリーグ関係者が話す。
「JFL(日本フットボールリーグ)の鈴鹿ポイントゲッターズほか、複数のチームの名前が挙がって、移籍の可能性がニュースになっていますね。鈴鹿は三浦選手のお兄さん、三浦泰年氏が監督兼ゼネラルマネージャーに就任しています。今季は惜しくもJ3昇格を逃しましたが、来季は是が非でも昇格をしたいと思っているはず。そこで若手のお手本となるような選手を探していて、三浦選手に白羽の矢が立ちオファーしたようです」
ただし、Jリーグより下のJFLに移籍した場合、練習環境、コンディショニング環境においての不安もある。また、Jリーグほど整っていないスタジアム環境の中、ボディコンタクトも荒く激しいカテゴリーでもあるため、JFLでも出場するのは限られるとの声も聞こえてくる。
「JFLからJリーグに参入できるか否かというのは非常に大きな差が生まれます。JFLはアマチュアの地域スポーツ。それをプロ化したのがJ3です。現状JFLとJ3のレベルは大きな大差はないとされていますが、そうは言ってもプロとアマ。スポンサーにプロ給与面の違い、プロレフェリーによる試合、プロとしてのモチベーションはアマチュアレベルとは違いますから、JFLチームはJリーグに参加したいと思っていますよ。だから必然的にプレーも激しくなりますし、荒削りな分ケガを負ってしまう可能性も高いので、心身ともにタフさが必要になります」(前出・Jリーグ関係者)
日本サッカー界への貢献度は計り知れないカズ。しかし、54歳の彼がFWとしてピッチに立つ、あるいは、ベンチ入りするということについては、こんな見方もある。
「未来ある若手選手1人のこれからの可能性を減らすことにはつながらないか。出場できるかどうかは、あくまで選手であるカズの責任ですが、“選手として所属させている側”の責任も問われるでしょう。鈴鹿に移籍となって、カズが期待された活躍をできなければ、実兄がカズに引導を渡すこことになるかもしれませんよ」(サッカーライター)
いずれにせよ、「戦力としてのカズ」の真価は、今後一層試されることになりそうだ。厳しい環境ではあるが、それでも、同年齢のファンの希望の星として、活躍を期待したいところだ。