社会

東京都「首都直下地震等被害想定」の大ウソを暴く(10)「自分なら免震マンションは絶対に買わない」大手デベロッパーが漏らしたホンネ

 躯体(上部構造)の脆弱性、設計限界を超える地震動による免震ゴムの破断、そして免震装置を囲む擁壁への躯体の激突──。しかし、地震に最も強いと信じられてきた免震ビルを巡る盲点は、前回までに指摘したこれらの問題だけではなかった。

 都内で高級マンションを分譲、販売している大手デベロッパーの営業担当者は、

「免震ゴムをはじめとする免震装置は、検査で劣化や損傷などが見つかった場合、全面的な交換が必要になります。交換は躯体をジャッキアップして行われ、終了までに数カ月程度かかります。実はこのタイミングで免震ビルが大きな地震に襲われた場合、当然ながら免震装置は全く機能しませんから、もともと耐震性が低く設計されている躯体部分は、地震波の直撃を受けて倒壊してしまう危険があるのです」

 こう指摘した上で、次のようにホンネを吐露した。

「免震装置の耐用年数は約60年とされていますが、昨年夏には免震ゴムの強度偽装も発覚しました。加えて、東日本大震災以降、都内で頻発している小規模、中規模地震による損傷などを考えると、60年間も交換不要とは到底考えられません。実際、ジャッキアップを必要とする早めの交換は今後、間違いなく増えていくとされています。大きな声では言えませんが、自分なら免震マンションなど絶対に買いません」

 この営業担当者によれば、同業他社の営業担当者、否、自社を含めた経営トップらも、同様のホンネを口にしているというのだ。

 ちなみに、免震構造は防災上の観点から、庁舎、消防署、病院などの公共の建物にも積極的に導入されている。

 今回のお手盛り新被害想定を策定した都の防災会議は、このような現場の生の声をヒアリングしているのだろうか。

(森省歩)

ジャーナリスト、ノンフィクション作家。1961年、北海道生まれ。慶應義塾大学文学部卒。出版社勤務後、1992年に独立。月刊誌や週刊誌を中心に政治、経済、社会など幅広いテーマで記事を発表しているが、2012年の大腸ガン手術後は、医療記事も精力的に手がけている。著書は「田中角栄に消えた闇ガネ」(講談社)、「鳩山由紀夫と鳩山家四代」(中公新書ラクレ)、「ドキュメント自殺」(KKベストセラーズ)など。

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