熱戦の最中、ロッカールームでは温厚な指揮官による叱咤があった──。
カタールW杯を戦い終えたサッカー日本代表のキャプテン・吉田麻也が帰国後の会見に出席し、印象的だったという森保一監督の振る舞いを明かしている。
グループステージでドイツとスペインを撃破するミラクルを巻き起こし、堂々の首位突破を成し遂げた日本。悲願のベスト8を目前にした決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦はPK戦での敗退となり、惜しくも日本サッカー史を塗り替えるには至らなかった。
12月7日、主将の吉田は森保監督と共に、国内での記者会見に登場。今大会の中で「最も印象深かったこと」について聞かれると、しばらく考えた後に、こう答えた。
「2試合目のコスタリカ戦のハーフタイムに、監督がブチ切れたところがいちばん印象的でした」
日本は初戦のドイツ戦で大金星を挙げながら、連勝が期待された2戦目のコスタリカ戦は、まさかの完封負けに終わった。その裏で、監督のブチ切れ説教があったという吉田の暴露を受けて、森保監督は、
「選手たちは精一杯戦ってくれていましたけど、相手の選手と対峙した時に局面で上回られるところがあったので、相手より強い気持ちを持って戦うということ。ここで言葉にするとハラスメントで問題になるかもしれないので言えませんが、そういうことを言いました(笑)」
選手たちの背中を押すためにも激しい言葉を使った、と白状したのだ。
なお、今大会では、日本サッカー協会がピッチ外での選手たちの素顔や舞台裏を追った密着動画「Team Cam」を、公式YouTubeチャンネルで配信。ただし「ブチ切れ場面」については、反町康治委員長いわく「カットしてある」という。スポーツ中継スタッフが言う。
「『気持ちで相手に負けるな』をモットーにする森保監督ですから、試合中の気の緩みだけは絶対に看過できないものだったのでしょう。ハラスメント級の言葉で選手を刺激しつつ、会見では『だいぶピー音が入りそう』とも回想。ただ、吉田はそんな森保監督を『これまでいろんな監督とやってきましたが、間違いなくいちばん尊敬できる監督』とまで絶賛している。選手と指揮官との間には、確かな信頼関係があったことが伝わります。カットなしのブチ切れシーンを見たい、という要望が出るのも当然ですね」
日本中を感動させてくれたサムライブルーの、2週間に及ぶ激闘。4年後こそは、次の夢であるベスト8の扉をこじ開けてくれると信じたい。
(木村慎吾)