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松井秀喜がやらかしたオールスターでの「大チョンボ」と「たった10球」事件

 巨人、ヤンキースなどで輝かしい記録を残し、国民栄誉賞も受賞している松井秀喜氏が現役時代、何度もやらかしたチョンボがある。

 現在は落ち着いた物腰で聖人君主のように思われている球界のレジェンドだが、若手の頃はよく集合時間に遅れ、関係者からお叱りの言葉をもらっていたものだ。

 巨人には「ジャイアンツタイム」なる伝統がある。どのチームでも練習開始時間や集合時間は設けられる。通常はその時間に間に合えばいい。だが巨人の場合は、その時間の30分前には姿を現さなくてはいけないという不文律があった。

 例えば移動日は、午前11時の羽田空港に集合となれば、遅くても午前10時30分には集合場所にいなくてはならない。午前11時では「遅刻」だ。

 松井氏はこの「ジャイアンツタイム」に再三、引っかかった。午前11時の集合時間の数分前には姿を現すのだから遅刻とはいえないが、関係者やチームメートに「また遅刻か」と皮肉られた。「だったら正式な集合時間を30分前にしてくれればいいのに」とボヤいていたものだ。

 30分早く起きればいいという話だが、松井氏は睡眠を大事にし、ギリギリまで寝ていたいタイプの人間だった。そのため「ジャイアンツタイム」の餌食になったのである。

 その松井氏が本当に大遅刻した事件がある。1995年7月26日、広島市民球場で行われたオールスター第2戦だ。この試合で松井氏はMVPに輝き、賞金200万円を獲得した。

 だが、この日は寝坊のため、羽田空港の集合時間に間に合わなかった。慌てて何便か後の広島空港行きの飛行機に飛び乗ったが、球場に到着したのは、他の選手から遅れること2時間後。

 午後4時50分過ぎにユニホーム姿でグラウンドに飛び出してきたが、この時点でセ、パの出場選手の練習はほぼ終了。松井氏の練習は、参加したホームラン競争で投じられたわずか10球だけだった。

 そんな状況で3安打1打点。試合後は「6時間前は、どうしようと思っていたのに」と言葉を弾ませたというから、さすが大物は違う。

(阿部勝彦)

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