幕開けした23年の中央競馬は、早いもので1開催目(中山・中京)が今週で幕。東のメインは恒例のAJCC、西のそれは東海ステークスだ。
前者が大阪杯、天皇賞・春の、言ってみれば一里塚的な一戦であり、後者は今年最初のGIフェブラリーSの前哨戦(1着馬に優先出走権が与えられる)。ともにファン必見の重要なGII戦である。
まずAJCCだが、寒さがピークになるこの時期、「超」の字が付く一流どころは放牧休養中の馬が多く、例年に比べると、やや小粒の感は否めない。とはいえ、今年の飛躍が見込まれている明け4歳のガイアフォースを筆頭に、なかなかの顔ぶれで、馬券的にはおもしろそうだ。
まずは過去のデータをひもといてみよう。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は6回。この間、1番人気馬は6勝(2着3回)、2番人気馬も同じく6勝(2着3回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は2回。
別定戦だけに実績馬が連絡みして当然だが、3年に1度は波乱になることを思うと、人気馬に全幅の信頼は置きにくい。
その理由の一つとして、この重賞に限らず、今の時期の競馬は寒さで調整が難しく、ひと息入ったような馬は重め残りの状態で出走するケースが少なくない。したがって調子のよしあしをよく見極めること、そして出走時の体重には注意を払いたい。
もろもろ考慮したうえで期待を寄せたいのは、ユーバーレーベンだ。
言わずと知れたオークス馬だが、その後は勝ち星をあげることなく2年が過ぎてしまった。しかし牝馬にしてはタフで、まだまだ衰えを知らない。
前走のジャパンCは10着に敗れたが、牡馬の一線級を相手にまくって出て、勝ち馬と1秒差の競馬。悪い内容ではなかった。前々走の天皇賞・秋も不利な外枠からコンマ8秒差の8着。まだ重め残りの状態だったことを思うと、よく頑張ったと評価したい。
ジャパンCのあとは、リフレッシュを目的とした放牧で英気を養い、ここを目標にじっくりと調整されてきた。乗り込み量が豊富なため、冬場でも重めの印象はない。帰厩後もしっかりと稽古を積み重ねており、調教の動きもこの馬としては上々だ。
厩舎関係者も「息はできており、体も締まって張りがある。力を出せる状態」と、口をそろえるほど。
どちらかというと、直線の長い左回りの東京コース向きにみえるが、中山は決して悪くはない。3歳の時だが、小回りの芝1800メートルで争われたGIIIフラワーCで差のない3着。フルゲートの競馬で、休み明けだったことを思うと評価すべき内容だった。
今回の芝2200メートルは適距離だけに、チャンス十分とみた。
一方の東海SはフェブラリーSを見据えているだけあり、なかなかの豪華版。混戦と言ってよく、難解な一戦だが、狙ってみたいのはスマッシングハーツだ。
前走のGIチャンピオンズCは7着に終わったが、プラス12キロの体重での出走。明らかに重め残りだった。それでも勝ち馬とはコンマ7秒差だったのだから力があればこそ。
この中間はしっかり調整できており、雰囲気が実にいい。全7勝のうち1800メートル戦での勝ち鞍はないものの、息の長い末脚が身上の馬。明け7歳とはいえ衰えは感じられず、稽古の動きも目立っている。
中京コースは〈2 1 0 4〉と相性もよく、勝ち負けになっていい。