「やっちゃいました! レース前は心臓が飛び出そうなくらいドキドキしていました」
1月23日、川口オートレース場で開催された「川口市営第12回1節」の優勝戦、ケガからの復帰戦を控えた後輩の森且行(川口・25期)らが見守る中、「弾丸ミッキー」の異名を持ち、半世紀以上のキャリアを誇る篠崎実が、6年8カ月ぶりに優勝ゴールを駆け抜けた。スポーツ紙レース担当記者が興奮しながら話す。
「これまでオートレースの『最年長優勝記録』は鈴木清市(伊勢崎)が持つ68歳9カ月4日でした。それを5歳以上も上回る73歳10カ月29日での優勝。これは13年3月にボートレーサーの加藤峻二(引退)が樹立した71歳2カ月13日の『公営競技最年長優勝記録』をも更新する偉業です」
今年1月4日には、史上5人目となる通算1500勝を達成。その際には「まだまだ走りの内容は40代、情熱は30代」と実況されたように、オートレース界の鉄人にとって、ここは通過点にすぎない。
「次の目標として『なるべく後ろのハンデから勝てるように頑張ります』と話していましたが、オートレースは150キロのスピードで争う競技。普通の人であれば歳を重ねるごとにキツくなっても当然ですが、篠崎選手のスタート力、整備力、他の選手が苦手とする濡れた走路での技術力をもってすれば、今後もさらなる躍進が期待できます」(前出・スポーツ紙レース担当記者)
85年に日本選手権、88年にはオールスターと2度のSG制覇を飾っている篠崎。2月26日には74歳になるが、引退の文字はまだまだ遠そうだ。
その篠崎より2つ年上で、3月7日に76歳を迎えるボートレーサー・高塚清一(静岡、B1級)が1月25日、ボートレース平和島で行われた「ボートレース平和島劇場開設13周年記念」8Rで、自らが持つ「最年長勝利記録」を75歳10カ月18日に更新した。
「インからコンマ17のトップスタートを決めて通算2374勝目を挙げました。昨年9月には優出も果たしていて、峰竜太(佐賀、A1級)も『勝利に対する意識がすごい』と感心するほど。女子レーサーで『グレートマザー』こと日高逸子(福岡、A2級)も1月30日、ボートレース戸田で行われた『第12回スマホマクール杯』で優勝戦に進出。昨年3月にみずから塗り替えた『女子最年長優勝記録』(60歳5カ月)を更新するチャンスでしたが、惜しくも6着に敗れた。それでも昨年11月に成し遂げた公営競技の『女子最高齢勝利記録』(61歳26日)を更新し続けています」(前出・スポーツ紙レース担当記者)
地方競馬の的場文男(66歳)は「地方競馬通算7400勝」が目前に迫り、88年のKEIRINグランプリに出場した佐古雅俊(62歳)も、21年10月に通算400勝を達成。昨年も勝利を収めるなど、現役最年長の「競輪仙人」として、若手からの人望が厚い。
近年、公営ギャンブルの売り上げが急激な伸びを見せている裏には、こうしたレジェンドレーサーたちの活躍があることは間違いないだろう。