事件

裁判所が「証拠の捏造」まで指摘した「袴田事件」複数の真犯人像と捜査当局の「大罪」

 1966年6月30日の未明に、静岡県清水市(現・静岡市清水区)にあった味噌製造会社の専務宅で発生した強盗殺人放火事件。焼け跡から専務とその妻、次女と長男ら4人のメッタ刺し遺体が発見されたこの事件ではその後、同社従業員で元プロボクサーの袴田巌氏が逮捕・起訴され、裁判で死刑が確定したことから、通称「袴田事件」と呼ばれてきた。

 当初から冤罪の疑いが指摘されていたこの事件は、再審(裁判のやり直し)の重い扉に何度も阻まれてきたが、80年の死刑確定から実に43年、ついに「開かずの扉」と言われてきた無罪への扉が開いた。

 3月13日、東京高裁は味噌樽から発見された犯行着衣について「第三者が味噌漬けにした可能性がある。捜査機関による捏造の可能性が極めて高い」との判断を示した上で、改めて再審の開始を認める決定を下したのである。

 今後は検察側が特別抗告を行うか否かが焦点となるが、仮に特別抗告が行われても新証拠の提示は困難とみられており、袴田氏の無罪が確定する可能性は極めて高いとされている。そんな中、再び注目されているのが、同事件の「真犯人像」だ。

 長年にわたってこの事件を取材してきた、全国紙の元社会部デスクが明かす。

「実は事件発生当初から、複数の犯人像が捜査線上に浮かんでいました。中でも捜査関係者が袴田氏とともに強い関心を寄せていたのが、殺害された専務の長女です。事件当夜、別棟で寝ていて難を免れたとされる長女には、家族から邪魔者扱いされていた暴力団関係者との接点があった、との身辺情報が取り沙汰されていたからでした」

 ところが静岡地裁の決定によって、袴田氏が拘置所から釈放された2014年3月27日の翌日、67歳を迎えた一人暮らしの長女が静岡県清水市の自宅で、死亡状態で発見される。元社会部デスクが続ける。

「警察は事件性のない病死として処理しましたが、自死だったのではないかとも言われています。味噌製造会社の従業員と駆け落ちして家出状態にあった長女が、事件当日だけ実家に帰宅していたことも、一連の疑惑に拍車をかけてしまったようです」

 とはいえ、これらにも確固たる証拠はない。複数犯による凶行の可能性も含め、真相は闇に葬られてしまうのか。東京高裁から「証拠の捏造」まで指摘された、捜査当局の罪が問われるゆえんである。

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