芸能

桑名正博「自称・隠し子」が死後に出現した「DNA鑑定」ニセモノ大騒動/壮絶「芸能スキャンダル会見」秘史

「残念ですが、今日の昼11時44分、ついに亡くなってしまいました…」

 2012年7月に脳幹出血で倒れ、意識不明となっていた歌手・桑名正博。大阪市内の病院で亡くなったのは、3カ月が経過した10月26日のことだった。

 遺体が安置された大阪市阿倍野区の斎場で、記者会見に臨んだ長男でミュージシャンの美勇士は、夫人と前年10月に生まれた娘とともに、桑名と対面したとして、冒頭のように声を絞り出したのである。

「入院してからはだいぶやせ細りましたけど、ここ1カ月ぐらいは本当に変わっていないんで。僕も2週間ぶりに会いましたけど、変わってなかったんですが…」

 そう話すと、唇を噛み締めた。

 10月30日に行われた告別式では、桑名の妹で歌手の晴子、そして美勇士が、桑名の名曲「月のあかり」を熱唱。号泣する美勇士の横で、涙ながらに歌う晴子の姿が弔問客の涙を誘ったものだ。

 ところが、桑名の死から6年が経過した08年、遺族を困惑させる騒動が起こる。それが桑名の「長男」「隠し子」を名乗る男性による、金銭トラブルだった。

 男性は「桑名乃羅」と名乗り、全国各地を旅しながら桑名の名曲を歌っているという。この男性について、食事をおごってもらったり、交通費を募ってもらっている、といった情報が数多く寄せられると、美勇士も自身のTwitterで次のように呼びかけ、注意喚起した。

「いちばん心配すべくは、被害に遭われた方々や、これからもまた桑名正博の息子を騙って同じことを繰り返さないかですので、口コミでいいので拡散して、気を付けてください」

「自称・桑名正博の息子」が訪れたという飲食店を電話取材すると、店主いわく、男性は桑名が東京の飲食店で知り合った女性(2年前に死去)との間に生まれたのだといい、

「本人は、認知はされていないと話していましたが、骨格や話し声が桑名さんそっくりで。『月のあかり』を歌ってもらったお礼に、料金は頂きませんでした」

「隠し子」かどうかの事実関係は別として、こういった行為は詐欺にはあたらないのか。知人の弁護士に話を聞くと、

「詐欺は『人を欺く』、つまり相手方を騙して金品などを奪い取ろうとする行為。今回のケースは名前を名乗り、相手方が好意で飲食を提供しているわけですから。そうなると、詐欺罪を適用するのは難しいでしょうね」

 ところが騒動の最中に「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)が、美勇士と男性との対談VTR収録に成功。年末の番組でその模様を放送したのだが、その男性が亡き父によく似ていることから、美勇士は、

「もし真実なら、家族増えてやった~!って。もしオヤジが生きていたら『一緒に飲みに行くぞ!』と言ったと思う」

 と目を細めていたものだ。

 しかし、後日行われたDNA鑑定により95%の確率で、2人が兄弟ではないと判明。結局、男性が「もう(乃羅を)使わないです」と約束し、この騒動はあっさりと収束した。

 とはいえ、突然の「隠し子」出現に、天国の桑名も苦笑いしたのではないだろうか。

(山川敦司)

1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。

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