自力では16年ぶりとなるパリ五輪出場権を獲得したバレーボール男子代表にあって、フランス人のフィリップ・ブラン監督の評価が急上昇だ。
日本バレー界で日系人以外では初となる外国人監督として2021年に就任。フランス、ポーランドとバレー強豪国の代表監督のキャリアがありながら、わずか3年でジリ貧状態だった男子バレーを「史上最強」と言われるまでに強化した。
世界のベスト16が集まるネーションズリーグ(6月)で国際大会では46年ぶりとなるメダル(銅)獲得、8月には完全アウェーのアジア選手権(イラン)で優勝、そしてW杯でパリ五輪の出場権を獲得し、会見では「パーフェクトなシーズンだった」と満足そうに話した。
母国フランスで行われる五輪で指揮をとることになるが、「私は日本人だと思っています!」と心憎いコメントもあった。日本スポーツ界でフランス人監督といえば、2002サッカーW杯で初のベスト16に進出させたフィリップ・トルシエ氏ら、なかなかアクの強い監督が多いが、ブラン監督は違う。「日本に来日した当初は、コミュケーションの取り方に苦労した。日本の選手は監督に反論しないことも驚いた」と言うが、今はもう問題ないと胸を張る。
「ダイジョウブ、サイコウでーす」という日本語が大好きなブラン監督。今は単身赴任で来日しており、今季の代表シーズンが終了したことで近々離日する。再来日は12月の予定だ。その間はリモートを駆使した「在宅勤務」で石川祐希主将ら海外組のメンバーや国内組の選手の状況をチェックするという。
男子バレー代表は高橋藍(らん)らを筆頭にSNSで200万人近いフォロワーを持つ超人気選手が多い。報道陣からSNSでの配信をリクエストされると「私は(63歳で)古い人間さ。SNSは全て選手たちにお任せするよ」と笑顔で答えていた。
(小田龍司)