スポーツ

【引退】小野伸二が中田英寿・中村俊輔とは一線を画した「優しいパス」の魅了

 今年の4月だった。本山雅志が引退を表明した。すると高原直泰、小野伸二と「黄金世代」と呼ばれた選手たちが次々と引退を表明した。特に小野に関しては、サッカーファン以外の人でも記憶に残っているのではないだろうか。

 小さいころから「天才」と呼ばれ、名門・清水商業高等学校(現・清水桜が丘高等学校)から浦和レッズに入団。いきなりフランスW杯日本代表メンバーに選ばれジャマイカ戦に出場。日本人W杯最年少出場記録は今も破られていない。翌年の1999年には、ナイジェリアで開催されたワールドユース(現U-20W杯)で準優勝に貢献。

 2001年にはオランダの名門・フェイエノールトに移籍し、日本人初のUEFAカップ優勝を経験。フェイエノールトでは5シーズンに渡りチームの中心として活躍。その後、浦和に復帰し、ボーフム(ドイツ)、清水エスパルス、ウエスタンシドニー・ワンダラーズ(オーストラリア)、コンサドーレ札幌、FC琉球、再び札幌と渡り歩いたが、どのクラブでもサポーターに愛された。

 それは彼の技術の高さ、発想の豊かさで、見ている人たちを楽しませてくれたからではないか。豪快なシュートというよりも、魅せるプレーでファンを虜にした。今でもネットで「小野伸二 神トラップ」と検索すれば、様々な動画がヒットする。どの動画を見ても、そのテクニックに思わずうなってしまうほどだ。

 また彼のパスも魅力的だった。全盛期には3人のパッサーがいた。1人は、このパスが通れば決定的なチャンスになるキラーパスを出した中田英寿。もう1人は、相手の裏をかく意外性のあるパスを出す中村俊輔。そして小野は、受け手に優しいパスを出していた。受け手が「ここに欲しい」と思った所にパスが来る。だから信じて走ればボールが出てくる。それも柔らかいパスというか、パスを受けた選手がシュートを打ちやすいパス。

 運動量やフィジカルが中心の現代サッカーでは、小野のような選手は出てこないだろう。

 日本にプロサッカーリーグ・Jリーグが誕生して30年。サッカーの面白さ、楽しさを伝えてくれた選手だった。

(渡辺達也)

1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の人からこの匂いがしたら、私、惚れちゃいます!」 弥生みづきが絶賛!ひと塗りで女性を翻弄させる魅惑の香水がヤバイ…!

    Sponsored

    4月からの新生活もスタートし、若い社員たちも入社する季節だが、「いい歳なのに長年彼女がいない」「人生で一回くらいはセカンドパートナーが欲しい」「妻に魅力を感じなくなり、娘からはそっぽを向かれている」といった事情から、キャバクラ通いやマッチン…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    今永昇太「メジャー30球団でトップ」快投続きで新人王どころか「歴史的快挙」の現実味

    カブス・今永昇太が今季、歴史的快挙を成し遂げるのかもしれないと、話題になり始めている。今永は現地5月1日のメッツ戦(シティ・フィールド)に先発登板し、7回3安打7奪三振の快投。開幕から無傷の5連勝を飾った。防御率は0.78となり、試合終了時…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
世界タイトル獲得翌日に王座返上宣言のボクシング新王者に具志堅用高が猛然と苦言
2
藤井聡太「連敗で八冠陥落危機」を引き寄せた「縁起の悪い将棋めし」
3
巨人の捕手「大城卓三と小林誠司」どっちが「偏ったリード」か…大久保博元が断言【2024年4月BEST】
4
【メジャー発掘秘話】多田野数人「ビデオ出演」スキャンダルに「たった一度の過ちだった」悔恨コメント
5
GW中にまた!死亡者が続出しても「だんじり祭り」を中止にできない「経済効果」