社会

中学受験シーズン到来で…「子供の生きづらさ」が先送りされる教育ママの大暴走

 12月に入り、今年度の中学受験シーズンがスタートした。12月上旬から海外からの帰国者募集、推薦入試が始まり、年が明ければ併願受験。そして2月1日に第一志望校を受ける流れだ。新型コロナで公立小中学校の課外活動が制限されたこともあり、この3年間「公立中学離れ」は加速している。

 東京都がこの秋に公表した2022年度「公立学校統計調査報告書」によると、今年3月に都内の公立小学校を卒業し、都内の私立中学に進学した割合は19.81%。中でも文京区は国立と都立中高一貫校、私立への進学率は52.82%と過半数超え。中央区(43.14%)、港区(42.47%)でも私立中学の進学率が4割を超えた。

 一方で、気になる動向もある。「発達障害の子供を持つ親の50%が支援学級への進級でなく、私立や国公立中学受験を検討」しているというのだ。都内進学塾の講師が言う。

「特に受験戦争が過熱しているのが『発達障害がある生徒』に理解があると定評の筑波大学附属、筑波大駒場です。どちらも筑波大学附属の『教育実験校』で、教育実習生の実習の場であると同時に、文科省の実験の場でもある。だから授業内容が偏差値の割にはユルいし、私立中高一貫校や都立上位校のような大学受験対策もしません。そのため勉強はできるけれど、得意と不得意のバラつきが大きい、発達障害を抱えたお子さんでも通学しやすいと評判になった。ただし、円周率を3と教えた『ゆとり教育』を全国導入する前の実験が行われるなど、授業内容の振り幅が大きいので、教育熱心な家庭のお子さんが入学することが大前提です」

 そのため、この講師に言わせると、

「私立にはモンスター親がいますが、教育実験校という特性を理解して協力的な保護者が多い附属高校に、秋篠宮家の長男・悠仁さまが進学したのは正解だったと思います。教育実習生を指導する立場の、多くの例を知る経験豊富な教職員もいれば、筑波は前述のような評判から、コミュニケーションにやや難があったり、自閉傾向のある『陰キャ』が多い。開成や麻布に『陽キャ』なお子さんが集まるのとは対照的です。宮様がいるからといって悪ふざけする生徒はいないし、他人に興味のない生徒が多い教育環境で、悠仁さまは伸び伸び過ごされたのではないでしょうか」

 だが、実際に筑波大学系列の附属校に通わせる保護者からは、こんな声も。

「発達障害の子供が学びやすいという評判が、障害を抱えるお子さんを持つ親の間で暴走していますね。似たような特性を持つ子供が集まってきているように思います。勉強はできるけれど、学校の支度は親任せ。年頃ですから勉強以外に友人とワイワイ遊んだり、交際相手と寄り道するくらいは目をつぶってもいいと思うのですが、『不真面目だ』『リア充みたいなことしやがって』と言うお子さんもいたり。社会に出て要求される他者との付き合い方を小中高で学ばないまま社会に出ても、お子さんが抱える『生きづらさ』が先送りされるだけでは…。社会人になって、会話のキャッチボールなんて当たり前のことは、誰も教えてくれません」

 この保護者の言うことはわかる。

 結局、中学受験をするのは、地元の中学が荒れていたり、本人にきめ細かい指導と配慮が必要であったり、質の高い教育を求めたりと「公立中学校や公立高校での生きづらさ」を自覚しているからだ。

 より恵まれた教育環境を求めて中学受験することは、悪いことではない。だが「多様性」と言いつつ、似たような特性の子供ばかりが集まって「それぞれの子供が抱える生きづらさ」は解消できるのだろうか。

(那須優子)

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