スポーツ

迫り来る「開幕マイナー」メッツ・藤浪晋太郎を襲う「残りわずかなチャンス」の崖っぷち

 今季からメッツでプレーする藤浪晋太郎が、マイナーで開幕を迎える公算が出てきた。藤浪は家庭の事情とビザ取得のために2月下旬から日本へ帰国し、3月2日(日本時間3日)にキャンプ地のフロリダ州ポートセントルーシーでチームに再合流した。

 調整を重ね、3月6日のアストロズ戦で実戦マウンドに上がるはずだったが、雨天中止で翌日以降にスライドすることになった。他の投手に比べて調整が遅れているだけに、実戦登板が延びれば延びるほど、不利な状況に置かれるのは間違いない。メジャーリーグを取材するスポーツライターは、現状を次のように話す。

「簡単に言えば、今季の藤浪の契約にはメジャー枠を保証する条項が盛り込まれていません。そのため、マイナーに降格させるオプション(選択権)行使も可能です。デビッド・スターンズ編成本部長が、そのオプションを行使する可能性は十分にありますね。藤浪はハマッた時はすごいが、安定感に欠ける投手。チームとしては下で調整させて、足りない部分の技術を磨かせる戦略を取るかもしれません」

 チームが今季、藤浪に支払う年俸は335万ドル(約5億円)。メジャーの2023年の平均年俸452万5719ドル(約6億8000万円)を下回っている。いわば「ローコスト・ハイリターン」を狙って獲得されており、チームとしては大化けすれば儲けもの、と考えている投手だ。

 藤浪は先発ではなく、ブルペン陣のひとりであり、いつ登板するかわからない。だが、開幕まで残り10試合を切る段階になってきただけに、登板機会はごくわずかだ。そのわずかなチャンスで結果を残せなければ、開幕マイナーは確定的となる。

「筒香嘉智のように、マイナーに落ちてもまだ這い上がろうとする精神力はない。モチベーションが下がってヤル気をなくす可能性もあります」

 阪神時代の藤浪を知るスポーツ紙記者はそう話す。1年契約であり、開幕メジャーを逃すことになれば、再浮上には暗雲が垂れ込める。早くも崖っぷちに追い込まれつつあるのだ。

(阿部勝彦)

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