スポーツ

入り口になぜか特撮シリーズ「大魔神」の像が2体も!/日本全国「旅打ち」行脚~江戸川ボート(上)

 ボートレースの水面には淡水、海水、汽水という3つのタイプがある。このうち聞き慣れなのが汽水だ。汽水は海水と淡水が混ざった水のこと。全国に24あるボートレース場のうち、5場がこれにあたる。関東では江戸川ボート1場だけだ。ちなみに多摩川は淡水、平和島は海水である。

 江戸川は全場の中でも、汽水場の中でも、ボートの操縦が難しいレース場として知られている。江戸川ボートは江戸川のレース場ではない。江戸川区にあるから江戸川ボートなのであって、東京湾の河口に向かって荒川と平行して流れる中川(放水路)にある。

 難水面といわれるのは、その立地によるところが大きい。河口から東京湾の潮が入り込んで上げ潮、下げ潮になる上に、川の上空の風向きが向かい風、追い風、横風と変わる。レーサーはそれらの微妙な変化を感じながら、レバー、ハンドルを握る。江戸川ボートはレーサーにとってもファンにとっても難しい水面だが、逆にそこが醍醐味でもある。

 出かけたのは、開設68周年のGI江戸川大賞の優勝戦が行われた、最終日の3月4日。本来は3日が優勝戦のはずだったが、初日の2月27日は日本中に強風が吹き荒れた。それでなくとも風の影響を受けやすい江戸川では開催できず、順延に。さらに準優勝戦が行われるはずだった3月2日は悪天候のため、6Rで中止。イレギュラーな開催日程になった。

 もっとも、慣れっこのファンには折り込み済み。本場には確認してから出かける。最終日はそんな大勢のファンで賑わった。

 江戸川の入場門は全国でも珍しい景観だ。正面入り口の左右にはなぜか、特撮シリーズ「大魔神」の大きな像が2体あり、ファンを出迎えてくれる。これはレトロな昭和イメージをアピールする目的で、設置されたらしい。

 実は場内には「太陽がいっぱい」など、往年の名画の巨大な劇場看板用宣伝ポスターがズラッと飾られている。場内もレトロで統一されているのだ。

 100円を払って1階正面入場門を入ると、目の前には階段。そこを抜けると、中川の土手にぶつかる。上がってシートが並ぶ土手を下がると、直線300メートルの水面が。向こう岸は中川と荒川の土手で、その上を首都高速が走っている。

 右が川上で1マークがあり、東京湾側の左手が2マーク。風が2マークに向かって吹けば北風、1マークに吹けば南風。東京湾に向かって潮が引くのが下げ潮で、逆は上げ潮。満ち引きは干潮、満潮による。

 バックストレッチの奥には、船が航行している。ここを船が通ると波立つので、レースを遅らせる。その分だけ舟券の発売締切、発走などが後ろに倒されることになる。こういうのも他にはない。

 この日の水面は前日とは違って、比較的穏やかだった。スタンド2階のホール正面にあるモニターには風向きや波高などのデータが表示されるので、これをいちいちチェックしながら舟券を検討するのがベターだ。

 正面の階段を上がったすぐ横に豚汁と、あんことみたらしの団子だけを売っている小さな店がある。そこで、熱~い豚汁300円をお腹に入れる。ネギどっさりが嬉しい。

 気合を入れて、6Rから舟券を買い始める。

 ボートレースは①号艇のインが逃げる、イン逃げが圧倒的に有利だ。全国にはイン逃げが60%近いレース場もあるのだが、江戸川は難水面なので40%半ば。それでも①有利に変わりはない。

 そこで全国共通の我流のセオリーは、①ともう1艇を1着に、2着3着に2艇を加えた3連単フォーメーション12点買い。このセオリーに当てはまらないレースも多いので、その場合は臨機応変に舟券を買う。

 6Rは後者だった。①は27歳のルーキーで、5日間7走で未勝利、連絡みが2着2回。他メンバーと比べて、データ的に分が悪い。そこで1着③と④、2着3着に①と②を加えたフォーメーション、各500円とした。

 結果は③のマクリが決まって3連単③①②、4700円を的中させた。孤独のギャンブルは、幸先のいいスタートを切った。

(峯田淳/コラムニスト)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の人からこの匂いがしたら、私、惚れちゃいます!」 弥生みづきが絶賛!ひと塗りで女性を翻弄させる魅惑の香水がヤバイ…!

    Sponsored

    4月からの新生活もスタートし、若い社員たちも入社する季節だが、「いい歳なのに長年彼女がいない」「人生で一回くらいはセカンドパートナーが欲しい」「妻に魅力を感じなくなり、娘からはそっぽを向かれている」といった事情から、キャバクラ通いやマッチン…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    今永昇太「メジャー30球団でトップ」快投続きで新人王どころか「歴史的快挙」の現実味

    カブス・今永昇太が今季、歴史的快挙を成し遂げるのかもしれないと、話題になり始めている。今永は現地5月1日のメッツ戦(シティ・フィールド)に先発登板し、7回3安打7奪三振の快投。開幕から無傷の5連勝を飾った。防御率は0.78となり、試合終了時…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
DeNA大型新人・度会隆輝「とうとう2軍落ち」に球団内で出ていた「別の意見」
2
「趣味でUber Eats配達員をやってる」オードリー若林正恭に「必死の生活者」が感じること
3
豊臣秀吉の悪口に反論したら「耳と鼻をそがれて首を刎ねられた」悲劇の茶人
4
桑田真澄に「偉業を全て盗まれた」同級生の元バッテリー捕手が明かす「ほとんど完全試合」時代
5
「3Aで最多安打記録」巨人に新加入の外国人ヘルナンデスに「超不吉なデータ」