スポーツ

広島・黒田博樹「不屈の野球道」(5)“不器用”でも一生懸命な幼少期の黒田

20150423o

 バリバリのメジャーリーガーとして、古巣に戻ってきた。いまだ広島は空前の黒田フィーバーに沸いている。惜しむらくは、チームがその波に乗り切れていないことだろう。しかし、黒田がこれまで歩んできた野球道こそ、逆境の連続だった。不惑を迎えてもなお変わらない“漢”の礎となった、まさに不屈の幼少期、学生時代をたどりたい。

 75年2月10日に産声を上げた黒田博樹(40)は、大阪の下町・住之江区で幼少期を過ごした。

「黒田さんのところとは、マンションの部屋が向かい合わせだったので交流がありました。お風呂上がりの博樹くんがパンツ一丁で突然、私たちの家に上がり込んできて、部屋中を駆け回ったり、雨の日には、廊下で野球のスライディングのまね事をしていたりね。とても活発な子供でしたよ」(黒田の幼少期を知る女性)

 父・一博さんは、南海ホークスの外野手として活躍した元プロ野球選手。現役引退後は住之江区で運動具店「クロダスポーツ」を営んでいた。また、母・靖子さんは公立高校の体育教師で、64年の東京オリンピックで砲丸投げ代表候補になっている。

 そんなスポーツ一家に育った黒田は、大阪市立加賀屋東小学校に入学。小学2年の時、地元の少年野球チーム「バイキングジュニア」に入部し、本格的に野球に取り組むようになった。

 同チームで2学年上だった太田平八郎忠相さんが小学生時代の黒田の印象について振り返る。

「素質的には抜群のはずなんで、どんなすごいやつが来るんやろうって、噂してたんですけど、ピッチャーをやらせてもストライクは入らないし、打ってもボテボテのゴロばかり。鬼ごっこをしても足は速くないし、溝にハマってコケたり、めっちゃ鈍臭くて全然大したことがなかった(笑)」

 相手の裏をかく巧妙なピッチングでメジャーの並み居る強打者たちを手玉に取ってきた黒田。だが、少年時代にその面影は微塵も感じさせなかったという。

「のちのプロ野球選手だから、運動神経は抜群で何をやらせても器用にこなしそうだけど、本当に不器用なやつだった。運動会で活躍した記憶もない。冬場には、みんなでサッカーをすることもあったけど、ボールを蹴ろうとして豪快に空振りしたりしてた。でも、真っ黒い顔で、いつも一生懸命だから、みんなから『クロ、クロ』って、かわいがられていました」(太田さん)

 12年7月5日付の「ニューヨーク・タイムズ」のインタビューで、黒田はこう答えている。

「小学校で野球を始め、ほとんど軍隊のようだった。試合でミスをしたらケツバットは当たり前」

 1学年上のチームメイトだった中分好幸さんは、当時をこのように述懐する。

「クロが入部して間もない頃に、野球経験がほとんどない高校生がコーチとして入ってきたんです。いつも竹刀を持っていて、ミスをするたびにケツバット100回とか、腹筋1000回とか、シゴかれまくった。練習を休みがちになる部員もいたけど、クロは歯を食いしばって耐えていましたよ」

 当時、黒田はチームメイトにこう打ち明けたこともあったという。

「あんな、もうケツが痛うて、痛うて。学校で椅子に座ることがつらいねん。あおむけでよう寝られんし」

 それでもひたすら耐え続けた野球道は、まだ始まったばかりだった。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の人からこの匂いがしたら、私、惚れちゃいます!」 弥生みづきが絶賛!ひと塗りで女性を翻弄させる魅惑の香水がヤバイ…!

    Sponsored

    4月からの新生活もスタートし、若い社員たちも入社する季節だが、「いい歳なのに長年彼女がいない」「人生で一回くらいはセカンドパートナーが欲しい」「妻に魅力を感じなくなり、娘からはそっぽを向かれている」といった事情から、キャバクラ通いやマッチン…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    今永昇太「メジャー30球団でトップ」快投続きで新人王どころか「歴史的快挙」の現実味

    カブス・今永昇太が今季、歴史的快挙を成し遂げるのかもしれないと、話題になり始めている。今永は現地5月1日のメッツ戦(シティ・フィールド)に先発登板し、7回3安打7奪三振の快投。開幕から無傷の5連勝を飾った。防御率は0.78となり、試合終了時…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
DeNA大型新人・渡会隆輝「とうとう2軍落ち」に球団内で出ていた「別の意見」
2
「趣味でUber Eats配達員をやってる」オードリー若林正恭に「必死の生活者」が感じること
3
桑田真澄に「偉業を全て盗まれた」同級生の元バッテリー捕手が明かす「ほとんど完全試合」時代
4
「3Aで最多安打記録」巨人に新加入の外国人ヘルナンデスに「超不吉なデータ」
5
ラモス瑠偉「W杯惨敗サッカー日本代表コキ下ろし」に抗議電話15万5000件/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」