スポーツ

広島・黒田博樹「不屈の野球道」(12)いまでも変わらない“野球への真摯な姿勢”

20150430ff

 専修大学OBで、広島で黒田と一緒にプレーした、現三菱重工広島硬式野球部監督の町田公二郎氏は、96年11月に大学時代の黒田と対戦している。東都大学選抜と東都OBの現役プロの記念試合で、町田氏は黒田からレフト前ヒットを打った。

「ストレートには威力があった。でも当時の黒田はとにかく細かった。プロ入り後も後ろで守っていて、下半身が細いなという印象。ただ、腰回り、太腿、ふくらはぎなど、年々どっしりしていったよね。本人が努力した結果だと思う」(町田氏)

 広島時代に黒田とバッテリーを組んでいた西山秀二氏が、プロ入り後に黒田が取り組んだトレーニングを明かす。

「1年目は先発ローテーションとして6勝を挙げたが、2年目はわずか1勝止まり。学生野球とは異なり、プロ野球は長丁場だから、強靱な肉体を手に入れないと生き残れないと痛感したんだと思うよ。そこで、下半身を強化する体幹トレーニングをいち早く取り入れて、肉体改造にも励んだ」

 広島球場でナイターが終わったあとも1人黙々と体幹トレーニングやストレッチに取り組んでいたという。こうした地道な努力の積み重ねが、メンタル面に課題を残していた投手を日本球界を代表する投手へと成長させたのだ。

 メジャー移籍後も黒田の真摯な姿勢はまったくブレることがなかった。

 上宮高校当時、コーチ、監督として黒田を指導した、現近畿大学硬式野球部監督の田中秀昌氏が語る。

「ドジャーズ時代に黒田の自宅を訪ねましたが、『トロントの球場はマウンドが高いので、肘が下がらないように気をつける』とか『低めの対応がうまいので丁寧に』などと、チームごとに対戦するバッターの傾向や特徴をみずからメモしたバインダーを作っていた。常に持ち歩いていると言っていました。メジャーでも成功を収め、ハリソン・フォードやシャロン・ストーンが近所に暮らすビバリーヒルズの豪邸に住むようになっても、まったくおごるところがなく、高校生の頃よりも真剣に野球に向き合っていましたね」

 冒頭でも触れた専修大学の入学式で、黒田は新入生にこのようなエールを送っている。

「18年間のプロ野球生活を通じて感じることは、『成長するためには自分で考えるという覚悟が必要』ということです」

 西山氏は言う。

「常に目の前を走るライバルの背中を追い越そうと、自分自身に言い訳することなく、地道に前へと進み続けてきた。実は黒田の野球人生は『ウサギとカメ』のカメなんです」

 広島を24年ぶりの優勝に導くため、黒田の不屈の野球道は続く──。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の人からこの匂いがしたら、私、惚れちゃいます!」 弥生みづきが絶賛!ひと塗りで女性を翻弄させる魅惑の香水がヤバイ…!

    Sponsored

    4月からの新生活もスタートし、若い社員たちも入社する季節だが、「いい歳なのに長年彼女がいない」「人生で一回くらいはセカンドパートナーが欲しい」「妻に魅力を感じなくなり、娘からはそっぽを向かれている」といった事情から、キャバクラ通いやマッチン…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    今永昇太「メジャー30球団でトップ」快投続きで新人王どころか「歴史的快挙」の現実味

    カブス・今永昇太が今季、歴史的快挙を成し遂げるのかもしれないと、話題になり始めている。今永は現地5月1日のメッツ戦(シティ・フィールド)に先発登板し、7回3安打7奪三振の快投。開幕から無傷の5連勝を飾った。防御率は0.78となり、試合終了時…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
DeNA大型新人・度会隆輝「とうとう2軍落ち」に球団内で出ていた「別の意見」
2
「趣味でUber Eats配達員をやってる」オードリー若林正恭に「必死の生活者」が感じること
3
桑田真澄に「偉業を全て盗まれた」同級生の元バッテリー捕手が明かす「ほとんど完全試合」時代
4
「3Aで最多安打記録」巨人に新加入の外国人ヘルナンデスに「超不吉なデータ」
5
豊臣秀吉の悪口に反論したら「耳と鼻をそがれて首を刎ねられた」悲劇の茶人