放映から50周年を迎えたのが、特撮ヒーロー史に輝く「ウルトラマン」(66年、TBS系)である。ウルトラマンに変身するハヤタ隊員を演じた黒部進(76)が、青春の日々を語った。
今から50年前は、映画の俳優がテレビを軽く見ていた時代。僕も先輩から「そんなのに出るのか」と言われたけど、これが初めてのテレビレギュラーで、しかも主役。与えられた仕事として全力を尽くしました。
ただ、シンクロの映画と違って、テレビはオールアフレコだったから、画面にセリフを合わせるのに苦労しました。
それに、最初の撮影が3本持ちだったけど、それだけで1カ月以上かかっている。さらに特撮の制作もどんどん押せ押せになってしまい、高視聴率でありながら3クール(39話)で終わらざるをえなかった。
さて、ウルトラマンの魅力は何かと聞かれたら、テーマ性を持った脚本も特撮もすばらしいが、1番は成田亨さんがデザインしたウルトラマンのフォルムでしょう。あのクールな表情に、男が持つべき慈悲の精神や男らしさが全て組み込まれていると思います。
さらに「科学特捜隊」というチーム編成も秀逸でした。冷静なムラマツキャップ、頭脳的なイデ、腕力と武器の操縦にたけたアラシ、紅一点のフジ・アキコと、5人のクルーの役割分担が本当にうまく描かれていましたね。
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最終回のタイトルは「さらばウルトラマン」である。宇宙恐竜・ゼットンに敗北するという衝撃の結末は、これまでの特撮ドラマでは考えられなかった。
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ウルトラマンと一心同体のハヤタも死ぬことになり、それを救出に駆けつけたゾフィーによって分離され、それぞれに命を与えられて、もとのハヤタに戻る。
第1話と同じく、赤い玉に包まれて浮遊するシーンは、台の上に横になり、それを持ち上げられる撮影だったことを覚えています。正直なところ、これで終わるんだ、解放されるんだとホッとした気持ちでした。もちろん、すばらしい作品ではあるけど、朝早くから夜遅くまで続くハードなロケの毎日でしたから。
当時は撮影に追われ、オンエアを観る時間もなかったけど、最近になってウルトラ関連のイベントで観る機会が多くなった。あらためて観ると、こんなにいい作品だったのかと驚かされますね。
例えば、地球に迷い込んだシーボーズの「怪獣墓場」とか、もとは宇宙飛行士だったジャミラの「故郷は地球」とか。あとスカイドンが重たすぎた「空の贈り物」とかね。ハヤタがベーターカプセルと間違えてスプーンで変身しようとする子供たちに人気のエピソードでした。
50年たった今でも、電車に乗っていて「ファンです」と声をかけられる。ハヤタ隊員とウルトラマンの名を汚さぬよう、いつでも、ちゃんとしておかなきゃなと思いますね。