石原さとみが出版社の校閲部員役でヒロインを務めるドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(日本テレビ系)。同ドラマの制作には原作小説の版元が協力しており、校閲に関する表現が的確だと評判だ。
だが10月5日放送の第一話にて、校閲漏れの箇所があるというのである。それはヒロイン自らが東京・日野市の高幡不動尊を訪れ、大作家が書いた小説の「山門に続く石段を彼女との日々を思い、私は上る」という文章を確認するシーンだ。週刊誌の編集者が指摘する。
「石原は境内の山道に設けられた石段を上っていきますが、その山道は小説に描かれた石段とは別の道なのです。本来の石段は、総門(正門)からまっすぐ伸びる参道の突き当りにあり、幅が2メートルほどある立派な石階段。それに対して石原が上っているのは『山内八十八カ所巡拝路』という道で、この道では山門にたどり着けません」
そのため、石原が見渡した景色は、小説に描かれた「五重塔の向こうに武蔵野の風景が広がっている」との景色とは違うものになっているという。週刊誌編集者が続ける。
「小説では山門から東方向を見た眺めを表しており、眼下を流れる多摩川と、その先に広がる武蔵野を描いています。それに対してドラマの中で石原が見たのは北方向の景色で、定義にもよりますが武蔵野からは微妙に外れた場所になるのです。そのため石原が『武蔵野の風景、オーケー!』と断言したのは、校閲者としてはいささか軽率だったかもしれません」
ほんの些細なポイントではあるが、本ドラマはそんな些細な箇所をチェックする校閲者を描いたもの。脚本家や演出家には、入念な校閲を求めたいものだ。
(金田麻有)