芸能

天才テリー伊藤対談「片桐竜次」(4)「相棒」の現場はどんな感じです?

20161103n

テリー しかし、ピラニア軍団出身の片桐さんが、今や「相棒」シリーズの警察幹部ですからね。世の中、わからないもんですね。

片桐 いやいや、俺がいちばんビックリしてますよ(笑)。

テリー それまでとは違って、視聴者から声をかけられることもずいぶん増えたと思いますけど。

片桐 うれしい反面、ちょっと恥ずかしいところもありますね。「相棒」では制服を着て偉そうにしているのに、ふだんは半ズボンにサンダルで自転車に乗ったりしていますから(笑)。

テリー 親しみやすくて、いいじゃないですか。現場での水谷(豊)さん、どんな感じなんですか?

片桐 すてきな方ですよ。そして天才ですね。毎回、台本は膨大なセリフ量なんですけど、いつも完璧に頭に入っていて。俺なんて、ちょっとしかセリフがなくても四苦八苦しているのにね(笑)。だから、水谷さんと一緒に出る時はやっぱり緊張するんですよ。

テリー ああ、とちったりして、迷惑をかけるのは嫌ですよね。

片桐 そうなんですよ。特に水谷さんの長ゼリフの合間にちょっと入ったりするのとかがつらいんです。「もし間違えて、最初からやり直しになったらどうしよう?」って。

テリー 「ごめん、もう1回」とはいかない?

片桐 そんなの、ダメですよ。だから、いつも自分のセリフのきっかけを間違えないように、水谷さんの最後のセリフを聞くことに集中していますよ。「俺の芝居なんかどうだっていい」っていうくらいに(笑)。

テリー 片桐さん、意外に繊細なんだなァ(笑)。俳優生活も長いと、映画・ドラマ撮影の現場もいろいろと変わったと思いますけど、最近の若い俳優についてはどう思われていますか?

片桐 みんな芝居がうまいですよね、感心してます。

テリー ええ、でもこれは個人的な意見ですけど、今メインで出ている人たちってイケメンが多すぎると思うんですよ。だって世の中、そんなに美形ばかりじゃないじゃないですか。

片桐 ああ、よくわかります。それぞれの個性が見えにくくなっていますよね。例えば、アラン・ドロンってただ男前なだけじゃなくて、健康的な不良性を感じるじゃないですか。そういうムードを持った人は、確かにあまりいないですね。

テリー そうそう、そういうことです。

片桐 人にはそれぞれ欠点や欠陥があって、そういうものが俳優にとってある意味“魅力”になるところがあったと思うんですよ。でも、今の若い人たちには、それは求められていないんでしょうね。

テリー ドラマに出る一方でバラエティにも出たりして、器用な人たちが多いですよね。でも、僕はそういう人をいざ映画やテレビで観た時に「あ、今日は仕事で役者をやってるんだね」みたいな感じで受け止めちゃうんですよ。もう少し「この人、ふだんはどんな人なんだろう?」って思わせてくれる人が観たいんですけどね。

片桐 そういう時代ですから、しょうがないと思いますけどね。役者だけでは儲かりませんから。最悪ですよ。

テリー アハハハ、さすがにそこまでじゃないと思いますけど。じゃあ片桐さんの映画も、たくさんのお客さんに来てもらわないといけませんね。

片桐 公開初日は舞台挨拶もありますので、ぜひ。でも、素では恥ずかしくてしゃべれないですから、一杯飲んで景気をつけて行きます(笑)。

テリー そう言わず、ぜひ劇場で拳銃ぶっ放してくださいよ(笑)!

◆テリーからひと言

 警察幹部からアウトローまで幅広くいけちゃう数少ない俳優だね。これからも一匹狼ならぬ、「一匹ピラニア」として演じ続けてください。

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