巨人OBで野球評論家の広岡達朗氏は、こうしたフロントのチーム編成を厳しく批判する。
「新戦力として獲得した選手が結果を残せなかったら、GMはクビにすべき。ただ、球団をクビになっても本社に戻れるからね。そういうフロントのぬるま湯体質が弱体化の大きな原因ですよ。野球のことを勉強しよう、生え抜きを育てようという熱意がないんです。だから結局、金を出して選手を集めることしかできない。取っ替え引っ替えのやり方ではチームは一つにまとまらないし、強くなるわけがない」
さらに広岡氏は、現在のチーム状況についても、痛烈なダメ出しをする。
「余剰戦力を抱え、選手に複数のポジションを守らせるのがダメ。私が現役の時は、各選手が一つのポジションでレギュラーを取るために、必死に練習をした。今の巨人の選手を見ていると、そういった必死さが欠けている。練習量も足りないし、チームに競争がない。頭も使っていない。監督やコーチも甘い。選手サマサマで顔色をうかがっている。ご機嫌を取るのは指導者の役割ではない。もっと厳しく指導しないと」
目立った若手の底上げもなく覇気のないチームの沈鬱なムードを変える一縷の望みは侍ジャパン組だが、WBC全戦でスタメンマスクをかぶり、チームトップの打率4割5分を残した小林誠司(27)は、阿部慎之助(38)に対して、こんな嘆き節を漏らしているという。
「すでに現役引退後の指導者としての道を見据えている阿部は、小林の教育係を買って出ています。昨年末には自身の捕手論をまとめた『阿部ノート』を伝授。『投手は信頼しても信用するな』など、阿部の持論がつづられていたのですが、小林は『どういう意味なんですかね?』と困惑していました。阿部はWBC期間中もLINEで激励していましたが、小林は『阿部さんから長文のメールが何度も送られてきて、既読スルーすると怒られるのでプレッシャーだ』とこぼしていました」(NPB関係者)
投手陣で最大の不安材料は、3年総額7億円でDeNAから移籍した山口俊(29)の右肩の状態である。
「巨人は獲得に乗り出していた中日に山口を取られることを恐れ、身体検査を怠った。DeNAは山口の右肩の状態が悪いことを知っていたから大して引き止めもしなかったし、『不良債権を処理できた』と球団関係者がほくそ笑んでいましたね」(スポーツ紙遊軍記者)
球界関係者も、三軍で調整中の山口の現状を嘆きながら、こう明かす。
「復帰のメドはまったく立っておらず、『第二の山沖之彦』と陰で言われています。94年にオリックスから阪神にFA移籍した山沖は右肩の故障で、一軍で1試合も投げずに引退している。その二の舞になるんじゃないかと。しかも山口はヘンに目立ちたがりだし、首脳陣の言うことは聞かないし」
とにかく三軍で浮いているというのだ。