テリー アメリカのトランプ大統領に、どんな印象を持たれていますか?
石破 実際に会ったことはありませんが、アメリカの友人は「彼はサスペンスとディール(取り引き)の大統領だ」と言ってますね。「相手を緊張と不安に陥れて、不安定な心理状態の時に取り引きをするんだ」と。
テリー なるほど、実業家ならではの手腕ですね。
石破 だから、昨日と今日で言うことが変わるし、閣僚とも言うことが違うこともあるから、何が本当だかよくわからない。その一方で、記者会見は一切やらず、ツイッターからバンバン発信する。恐らく既存のアメリカの秩序を破壊することが、自分のミッションの一つだと思っているんでしょう。
テリー 僕、政治家には三つの要素が必要だと思ってるんです。「未来を見る力がある」「数字が読める」「品格がある」。トランプさん、一つも持ってないですよ。
石破 そう言い切っていいのかなァ。
テリー もし石破さんが総理大臣だったら、ああいうやっかいな男とどう接していくんですか?
石破 一般論で申し上げれば、アメリカと日本は対照的な同盟国ではありません。アメリカは日本を防衛する義務を負う。一方、日本はアメリカを防衛する義務は負わない。その代わりに日本国の領土を日本国防衛のためだけじゃなく、アメリカの国益のためにも提供します、と。そういう違う義務を負っている同盟関係なわけです。だからアメリカに何かワッと言われると「お武家様、お許しください」みたいな対応になりかねない。
テリー 何か、卑屈な感じでね。
石破 何だかんだ言って、日米同盟は今日に至るまで、世界の同盟の中で最もうまくやってきた同盟の一つだと思います。だけど、これから先もそうなのかというと、それはわからない。だからこそ、日米同盟を対照的な同盟に持っていかないといけない。それが日本の国益であり、アメリカの国益でもあるはずだ、ということをアメリカにも認識させないとダメだと思っているんですね。
テリー それ、本当にできますか?
石破 時間はかかるかもしれませんけれど、理屈をきちんと説明すれば。もちろんお互いの国益も違いますが、私は防衛大臣の時も農林水産大臣の時も、いろいろな国の大臣と話しました。その経験から言うと、「みずからの言葉で自国の国益を考えて発言している相手だ」と信頼できれば、たとえ初対面でもどんどん話が進むんですよ。
テリー へぇ~、そういうものなんですね。
石破 だから、アメリカに対してきちんとモノを言うというのは、何も「アメリカ、何するものぞ!」とか、そういうことじゃないんですよ。「これとこれは日本がやりますから」と、ちゃんと覚悟と責任を持って言う、それこそが新しい日米関係の基礎になる、と私は思っているんですね。もちろん、口で言うほど簡単じゃないですがね。
テリー わかりました。しかし、こんな大変な時期にこうして「アサ芸」に出てくれるあたり、さすがだと思います。そのタフさこそ、明日の総理大臣に必要な条件じゃないかと思うし、少なくとも僕は期待しちゃうんですけれど。
石破 どうなんでしょうね、この状況ですから。明日はどうなるかわかりませんが、どんな立場になろうとも日本のために頑張りたいとは思います。
◆テリーからひと言
石破さんには、ぜひ総理大臣になっていただいて、このモヤモヤとした日本の現状を打破してほしいな。期待しています!