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「馬よりルメール優先主義」に激論勃発(2)今後もドンドン有力馬が集まる

 ルメールがもてはやされるのには、もちろん理由がある。1つ目は、日本の競馬に慣れたこと。対応力がとにかくすごいのだ。02年に初来日した頃は、フランスとは違ってレースが速く流れていると感じたが、最近はスローペースのレースが多くなってきたという。

 事実、今年のダービーなどは、それを象徴するようなレースで、スローを見抜いたルメールの早めの対応が、レイデオロに勝利をもたらした。

 2つ目は、判断力に優れていること。ルメールに限らないが、海外の一流騎手は馬群に詰まることが非常に少ない。行ける時にサッと動いて、勝負どころでは空いたところをキッチリ抜け出してくる。ヴィクトリアMをアドマイヤリードで制した時や、秋華賞をディアドラで勝った時もそうだった。

 3つ目は、馬といいコンタクトが取れること。ルメールは、調教や返し馬に乗る時、頭の動きや首の使い方、走り方に注目する。そして瞬時に馬の癖やタイプを見抜く。だからレースで馬の持ち味をフルに発揮させることができるのだ。

 そのいい例が10月8日に行われた東京7R(3歳以上500万下)。勝ったアルーアキャロルは、道中、頭を上げて行きたがっていたが、その癖をわかっていたルメールは馬をなだめ、ためていた脚を直線で爆発させた。こういう優れたところを持った騎手だから、みんなが乗せたがるのである。

 そのルメールが今年最大の目標としているのが、リーディングを獲ること。イタリアで5回リーディングに輝いているM・デムーロ(38)とは違い、ルメールは自国フランスでも一度もない。そのため、リーディングへの思いは人一倍強いのだ。

 昨年は戸崎圭太(37)に1勝差で敗れたが、そのリベンジを果たしたいとも思っている。もしリーディングを獲ることができれば、外国人ジョッキーでは初となり、歴史的な快挙。それをエージェントもわかっているだけに、今後、ドンドン有力馬をそろえてくるだろう。

 もちろん、ライバルたちも黙ってはいまい。デムーロは、今年の目標を200勝と言って、自身を鼓舞している。これから暮れにかけて、ジョッキーたちの激しいバトルが繰り広げられそうだが、ファンは、強い馬同士の熱い戦いを見たいと願っているに違いない。

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