コロッケ自身もものまねをするうえで、対象となる有名人の言葉が、大きな励みになるという。
「『ロボットの動きをここまでやって見せるのはエンターテイナーとしてすごい』と五木さんに言っていただいた時はうれしかったですね。北島さんの舞台公演に挨拶に伺った時には、『コロッケちゃんはそれで飯を食っているんだからいいんだよ、どんどんやっていいよ』と言ってくださいました」
ものまねする本人にも感謝の気持ちを忘れないのが、コロッケの〝ものまね美学〟でもある。
「ものまねはしょせん偽物ですからね、偽物が勘違いしちゃいけんでしょう、というのが僕の精神。御本人あってのものまねですから」
かつて「真面目にやりなさい!」とコロッケを一喝した淡谷のり子との間には、こんな心温まる話もあった。
「淡谷先生が亡くなった時に、まねをするのは失礼だと考えた時期もありました。でも、妹さんが『若い人に淡谷のり子の名前を知ってもらえるから、ぜひ姉のまねをやってください』と。そんなふうに言ってもらえるなんて夢にも思わなかったので、とてもありがたかった。クリカン(栗田貫一)がルパン三世の声優だった山田康雄さんのあとを受け継いだり、ものまねが別の形で喜んでもらえる。ここにきて自分たちがものまねをやってきてよかったと感じることがありますね」
ものまね四天王が分裂から20年たった今も鮮烈に記憶に残るのは、圧倒的な個性が、切磋琢磨していたからにほかならない。コロッケに四天王それぞれの個性について語ってもらった。
「例えば、ステキな茶碗があったとする。この茶碗の見せ方がみんな違うんだ。クリカンはきれいなままに茶碗を見せる、清水アキラさんは見せる前にぶち壊す、ビジーフォーは茶碗のセッティングを整えきれいに見せる、つまり新しい茶碗の見せ方をする、そして僕はちらっと見せて目の前で茶碗を落とす(笑)。まったく違う個性でものまねを極めたから『四天王』と呼ばれたんだと思う」
90年代、ものまね四天王はそれぞれの道を歩み始めた。