社会

妻が絶縁宣告「死後離婚」の悲惨な現実(3)「同じお墓に入りたくない」

 夫のことが好きでなくなっていれば、当然、その両親の面倒を見るのも嫌になる。ただそうはいっても「姻族関係終了届」を提出するのは簡単なことではない。周囲の目が気になるからだ。

「夫の両親や親戚などから陰口を叩かれるのが嫌な方や、夫の両親と縁を切ることに耐えられない方は、踏みとどまることも多いですね」(露木氏)

 浜田京子さん(56)=仮名=は、夫と娘2人の4人家族。そして夫の両親2人との二世帯住宅で暮らしていたが、義父が3年前に他界し、義母は軽度の認知症と診断されて、介護管理者付きマンションに入居した。

 基本的な食事や入浴などの世話はヘルパーが代わってくれるが、ヘルパーとのこまごまとした連絡や週1回の通院の付き添いは、京子さんが行っていた。

「夫は介護を私にまる投げしておきながら、不満や愚痴ばかり。ケンカは絶えませんでした。しかも、週末になると、夫は不倫相手の家に入り浸っていたんです」

 あげくの果てに、夫のほうから離婚を突きつけてきた。だが、京子さんは同意しなかった。

「もし同意したら、私は追い出されて、不倫相手の女を招き入れるはず。そうなると、夫やその女がお母さんの面倒を見るとは思えませんでした。お母さんには、最期まで安心して暮らせる場所を確保してあげたいと思ったんです」

 京子さんが義母と一緒に暮らしている期間は実母と同じ25年。つまり、義母は実母と同じような存在なので、夫に体よく利用されていると知りながら、それでも義母を見捨てるわけにはいかなかったのだ。

 そんなある日、夫が脳梗塞で死去した。

「正直、同じお墓にも入りたくないぐらい、夫のことは好きではありません。『死後離婚』のことも知っています。でも、何があっても、お母さんを最後まで看取ろうと思っています」

 前出・露木氏が言う。

「妻側から夫と離婚、もしくは死別したら義理の両親のことをどうするのか、という相談を受けた時、死別時なら『姻族関係終了届』という方法があるとアドバイスすることはあります。ただ、京子さんのように、提出しないケースも多い。いずれにしても、夫が死ぬ前から離婚したくても離婚できない『予備軍』が増えていると考えるのが自然でしょう。戸籍上は夫婦であっても、夫婦間に信頼関係が存在していないのであれば、仲が悪いほど夫が先立った時に妻が全てを捨てて去っていく確率は高まるばかりです」

 つまり「離婚予備軍の増加」=「姻族関係終了届の増加」だと言えるのだ。「死後離婚」されないためにも、日々、家庭を振り返ることが大事なようだ。

監修/離婚問題アドバイザー・露木幸彦

カテゴリー: 社会   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    「王座戦」初防衛に王手をかけた「鬼神・藤井聡太」の勝利の方程式は「パイナップル・キノコ抜き・室温20度」

    いくら漫画でも、こんな展開は描けない。将棋の第72期王座戦5番勝負第2局が9月18日、名古屋市の名古屋マリオットアソシアホテルで行われ、午前9時の対局開始からわずか30分で76手まで進む「AI超速将棋」を藤井聡太七冠が制して2連勝。王座戦初…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
プロ野球FA戦線「移籍大穴候補」に浮上したDeNA主軸と阪神の代打男「それぞれの動機」
2
【緊急】中日に「異常事態」発生!退団即呼び戻し&指導経験ゼロの「球団広報」がコーチ就任って…
3
「夜の営みが一番うまかったのは誰?」に困惑した熊田曜子が「さらなる直球質問」で明かした大物芸人との関係
4
【今季回顧】中日・涌井秀章「1打席22投球」プロ野球珍記録を江川卓が絶賛「よっぽど冷静なんですよ」
5
山健組・中田浩司組長「殺人未遂事件で無罪判決」にあった「ミスター無罪」の存在