政治
Posted on 2026年10月12日 15:00

高市政権が「利上げの日銀」に送り込んだ「刺客」がトーンダウンしたのは「トランプシフト」で怒り回避のため

2026年10月12日 15:00

 9月の金融政策決定会合で利上げに反対した佐藤綾野審議委員がなんと、利上げ継続の立場を示す日銀の方針に同調発言し、大きな波紋が広がっている。投資ストラテジストが明かす。
「7月に審議委員に就任した佐藤氏と、4月に就任の中央大学・浅田統一郎名誉教授は高市政権の『責任ある積極財政』を推進するため、日銀に送り込まれた刺客とみられています。つまり高市早苗首相の意向に沿って、日銀が進める利上げにブレーキをかけ、財政出動と金融緩和に積極的な政策を進めたい『リフレ派』だったはずが……」

 高市政権の積極財政により、来年度予算概算要求は史上最大規模の143兆円に。加えてAIなど17分野に、2040年までに370兆円を投資、2年間は消費税(食料品)を1%に下げるなどイケイケだ。しかし肝心の歳入はどうする、原資はどうするとなると、たちまちトーンダウン。
「基金などの見直し、廃止を進める」
「心配にはおよびません」
 と高市首相は強気だが、今ひとつ曖昧だ。

 この高市経済に国際市場が懐疑的となり、日本国債の長期金利が上昇。これに連動してアメリカ長期金利も上がる。これがアメリカ経済にとっては自動車、住宅などの金利引き上げにつながり、景気浮揚策どころか、トランプ政権を揺さぶっている。
「トランプ大統領は11月の中間選挙を前に、景気浮揚策で国民の支持を取り付けたい。そこに日本円安で、アメリカは長期金利アップ。慌てたトランプ政権キーマンのベッセント財務長官が再三再四、高市首相と片山さつき財務相に、長期金利上昇につながる『リフレ政策』のストップを要請するとともに、円安にブレるたびに日米で協調介入し、市場を牽制してきました」(前出・投資ストラテジスト)

世界市場は基本的スタンスが変わったとはみていない

 そうしたトランプ圧力のためか、高市首相を筆頭にリフレ政策を担うと目されてきた城内実経済財政相ら中心幹部が相次いで「リフレ否定」を宣言した。エコノミストが指摘する。
「佐藤氏が軌道修正したのは、高市政権が『リフレ派ではない』と否定した一連の発言に連動するものだろう。つまりトランプ政権の怒りを買いたくないという、トランプシフトです」

 金融関係者もこう話すのだ。
「高市首相は6月の骨太ショックに加え、アメリカが円安にノーなので、日銀の利上げに対する直接的圧力という槍を、一時的にひっこめる気配です。当面は踊り場で様子を見る構えですね」

 しかしアメリカを含めた世界市場は、高市財政が運営する「官民連携の投資」の手法に、依然として懸念を持っている。「リフレ」をベースにした基本的スタンスが抜本的に変わった、とみていない勢力が多いからだ。
 高市政権の一挙手一投足から目が離せない。

(田村建光)

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