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「定年後のお金の悩み、解決します」
河出新書/1100円
止まらない物価高で、年金や預貯金は実質目減りし、老後資金の不安は強まる一方だ。そこで、経済ジャーナリストの荻原博子氏が、幸せな老後を迎えるための資産戦略をズバリ解説する!
空前の投資ブームだが、荻原氏は「50代からの投資はリスクだらけ!」と、次のように警鐘を鳴らす。
「政府主導で個人投資を奨励している現状を見て『投資をしないと満足な老後を過ごせないのではないか』と不安になることもあるでしょう。これからは、リスクを取らないといけない時代がやってきますから、若い人はどんどん投資すればいい。いかにリスクがあるかを若いうちに知ることができるからです。たとえ買った株が半額になってしまっても、若ければ気持ちを切り替えて、損を取り戻そうと思えるでしょう。でも、定年間近の人が蓄えを半減させたら、取り戻すことは難しい。なので私は、60歳以降の人に対して、基本的に投資はお勧めしません。この年代は、お金を大きく稼ぐことより、今あるものを大切に守り、うまく使うことを考えるべきです。もし、どうしても投資をしたいなら、余剰資金でやることが大前提ですね」
さらに荻原氏は「投資を考える前にやるべきことがある」と指摘する。
「50代、60代の人には、まだ住宅ローンが終わっていない方も少なくありません。金利が上がっているので、遅くても年金生活に入る前に、繰り上げ返済をして、身を軽くしておいたほうがいいでしょう」
本書では保険や年金、老後の働き方や住まいをはじめとして、老後の資産を守るテクニックをわかりやすく解説している。中でも勧めているのが、夫婦で行う「資産の棚卸し」だ。
「まず、夫婦が持っている資産をチェックします。1枚の紙に収入と支出、土地や株や保険など、資産に関するすべてを書き出します。必ずプラスとマイナスの財産を書き出してください。数字が把握できると改善点が検討しやすくなりますからね。そして『住宅ローンがこれだけ残っている』『保険が多すぎるので貯蓄ができていない』などの情報を共有しましょう。このように、夫婦で力を合わせないと家計は改善されません。同じように月々の出費についても、細かく書き出してチェックしてみるといいでしょう」
また、定年前後の世代の資産戦略の1つが「個人向け国債」だ。
「利子が2%くらいつきますから、例えば退職金の1000万円を投資すると、年間20万円くらいの利息が確実に手に入ります。このように退職金をキープして、年金の範囲内で生活すれば、楽しい老後になると思います。老後はそんなにお金がかかりませんから。食生活にしても、若い頃は焼き肉やステーキでおなかを満たしていたけど、あっさりした魚などが食べたくなるし、おしゃれをする機会も減りますからね」
物価高の対策については「まず、日頃から不必要な物を買わないこと」と前置きして、こう続ける。
「出ていくお金が少なければ物価高の影響は最小限に抑えられます。このような不透明な時代には、家計の1割ほどを貯金に回すのもいいでしょう。とにかく、あまり悲観的にならずに、前向きに老後を楽しみましょう」
〈宇田川しい〉
荻原博子(おぎわら・ひろこ)1954年、長野県生まれ。明治大学文学部卒業後、経済事務所勤務を経て経済ジャーナリストとして独立。家計経済の第一人者として、生活者の視点から、お金の仕組みをわかりやすく解説。「知らないとヤバい老後のお金戦略50」「年金だけで十分暮らせます」など著書多数。
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