社会
Posted on 2026年06月02日 06:45

オーバーツーリズム対策「観光客を地方へ分散」しても新たな問題が起きた「空港にもタクシー&バス会社にもホテルにも人がいない」

2026年06月02日 06:45

 京都では市バスが観光客で埋まり、地元住民が乗れない。富士山周辺では交通渋滞やマナー違反が問題化し、東京や大阪でも人気観光地の混雑は日常風景となった。
 訪日外国人旅行者の急増によって深刻化する「オーバーツーリズム」。その対策として国や自治体が期待を寄せているのが、観光客を地方へ分散させる戦略だ。

 その流れは実際の数字に表れている。福岡空港は2025年度の旅客数が過去最高を更新し、国際線利用者は939万人に到達。新千歳空港も国際線利用者が前年比17%増となり、仙台や熊本などの地方空港で国際線需要が急拡大している。観光客を東京や京都だけに集中させず、地方へ直接、呼び込む構想は着実に成果を上げつつある。

 しかし、その先に立ちはだかるのが、人手不足の壁である。象徴的なのは福岡空港だ。インバウンド需要の急回復に対し、保安検査員の確保が追いつかず、慢性的な人員不足が問題に。
 2023年には30~40人が不足し、需要がコロナ前水準に戻れば最大100人が不足する、との試算が示された。保安検査場で長時間、待たされるケースがあり、空港機能そのものに影響を及ぼしているのだ。

 いや、福岡空港だけではない。宮崎空港では2026年4月から保安検査の実施主体を航空会社から国へ移管する、新たな体制がスタートした。これは保安検査員の確保が全国的な課題となっているためだ。2026年3月には地方空港として初めて、最新型の「スマートレーン」が導入され、省人化と処理能力向上が進められている。

関西国際空港第2ターミナルに自動手荷物預け機とスマートレーン

 一方、LCCの拠点として利用される関西国際空港第2ターミナル(国内線)では、2025年8月から進められていたリノベーション工事が2026年4月1日に完了。自動手荷物預け機やスマートレーンを備えた新たな保安検査場が整備され、増加する旅客に限られた人員で対応する体制が作られた。

 問題は空港の外にも広がる。地方へ観光客を送り込むことはできても、バスやタクシーの運転手、宿泊施設の従業員が不足すれば、受け入れ体制はすぐさま限界に達する。観光客は増えているのに、それを支える人が足りないのだ。

 観光客の増加を追い風にできるかどうかは、人材確保と省人化の両立にかかっている。観光立国を掲げる日本にとって、「誰が支えるのか」という課題は避けて通れないテーマなのだ。

(旅羽翼)

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