社会
Posted on 2026年10月18日 21:00

山口組「10年戦争」で消えた拠点の現在(1)本部だけでなく組長の居宅まで

2026年10月18日 21:00

 およそ10年に及んだ山口組分裂抗争の各陣営は、戦禍によって様々な代償を支払うことになった。その最たる例がヤクザ活動の拠り所となる「拠点」の喪失だろう。組の持ち物だった事務所、関連施設は、ことあるごとに当局に目をつけられて、使用禁止に追い込まれてきたのだ。その内情に迫る─。

 六代目山口組(司忍組長)と池田組(池田孝志組長)、絆會(織田絆誠会長)に対して、各公安委員会が「特定抗争指定」を解除したことで、各組織が拠点を構えてきた岡山市、宮崎市などの「警戒区域」が相次いで解除された。

 次いで神戸山口組(井上邦雄組長)との指定解除がなされるか注目されたが、10月から3カ月延長されることが発表され、抗争の完全終結は来年以降に持ち越されることになった。

 10年にわたる長期抗争により、各組織は軒並み組員数を激減させた。それだけでなく、平時には組員が集まることで結束維持の要となり、戦時には他組織に対する「要衝」ともなる組事務所もまた、様々な理由で減少を余儀なくされた。

 六代目山口組・髙山清司若頭(当時、現・相談役)が19年10月に出所する前後に神戸山口組への攻撃が激化。その後に双方の主要事務所の使用禁止、さらに翌年1月からは「特定抗争指定」を受け、警戒区域内での集合禁止や組事務所使用の禁止が発令され、双方の活動が厳しく規制された。山口組事情に詳しいジャーナリストが言う。

「組事務所をどう規制するかは、司法・捜査当局の長年の懸案でした。現在までに編み出された規制方法は大別すると3パターンあります。暴対法における事務所の使用禁止、特定抗争指定による警戒区域内での使用禁止、そして13年の暴対法改正で住民に代わり暴追センターの代理請求が認められたことで相次いでいる裁判所への『使用差し止め請求』です。前者の2パターンは抗争が終われば使用が解禁されますが、使用差し止め請求は仮に原告である住民側と和解できたとしても、組事務所の使用が恒久的に不可能になり、使用差し止め請求を受けた組事務所は現在までほぼ100%消滅しています」

 分裂当初、神戸山口組の本部だった淡路市の侠友会本部は、17年に使用差し止め請求が認められ、自主閉鎖に追い込まれる。その後、神戸市内に設けた新本部も契約に瑕疵があったとして当局の追及を受け、その後、両本部ともに売却された。23年からは井上組長の別宅とされる兵庫県稲美町の建物が、当局から神戸山口組の本部とみなされるようになった。

 一方、六代目山口組傘下からたびたび銃撃、放火などの攻撃を受けてきた神戸市内の井上組長宅は、25年1月に「六代目」系ヒットマンの襲撃を受けたのを最後に標的となっていない。

「ところが、神戸山口組系元幹部が起こした金銭トラブルで差し押さえられ、競売にかけられ、今年4月に売却されたのです。『神戸』の本家である象徴的な牙城が、抗争でなく民事事件の代償として失われたのは異例中の異例でした」(ジャーナリスト)

 他にも傘下では、宮下和美舎弟頭補佐が率いる二代目西脇組本部が25年5月に売却された。拠点喪失と引き換えに神戸山口組は、昨年末の納会を明石市内の飲食店で極秘開催するなど、潜在化を強めている。

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