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記事全文を読む→金難民〜金塊密輸に魅せられた人々〜〈第8回「ロレックス密輸ビジネスの瓦解。カードのローンだけが残った」〉(3)決済総額1億1000万円
だが中野では20年以降も、時計店の新規出店が続いた。そして手口も消えなかったのだ─。
24年8月、朝日新聞デジタルが「バイヤーたちの暗転 高級時計買い付け『キーマン』を追え」と題した5回の連載を配信した。
舞台は23年。「海外で高級腕時計を買い付ければ報酬がもらえる」という求人に応じた人々が、数千万円規模のクレジットカード債務を負わされていた。会社の名は「FORTUNE」。渋谷区に本社を置いていた。
5年前と何も変わらない。渡航費も宿泊費も会社持ち。現地で自分のカードを切り、購入代金の5%を報酬として受け取る。代金は後から振り込まれるはずだった。
ある女性はカードを12枚作り、決済総額は1億1000万円に上った。報酬の累計は600万円ほど。
23年11月27日、入金が途絶えた。
警察に駆け込んだ女性に告げられたのは「事件化は無理です」という言葉だった。決済した場所が海外であること、本人が納得してカードを切っていることが理由だという。
残ったのは約1800万円の債務。年収の3倍にあたる額だった。
朝日新聞は2枚の写真を鑑定機関に照合させている。18年、中野の時計店でバイヤーたちから「オーナー」と呼ばれていた男。23年、FORTUNEで「ゼネラルマネジャー」を名乗っていた男。
顔と体の39項目すべてが一致した。別人の可能性は3万分の1、最高位の「A」評価である。
5年を隔てた2つの事件の中心にいたのは、同じ男だった可能性が極めて高い。そしてその男は、A社を仕切っていたIかもしれない。
金からロレックスへ。そして最後は、人のカードそのものへ─。
毎月、利子だけを払い続けている人間がいた。
高木瑞穂(たかぎ・みずほ)ノンフィクションライター。月刊誌編集長、週刊誌記者などを経てフリーに。主に風俗や犯罪事情を取材、執筆。「売春島『最後の桃源郷』渡鹿野島ルポ」(彩図社)、「ルポ 風俗の誕生」(清談社Publico)など著書多数。
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